オオカバマダラの驚くべき北米縦断の旅に迫る展示
ニューヨークのアメリカ自然史博物館では、蝶々がテーマの新たな展示「Monarch’s Journey(モナークズ・ジャーニー)」が10月16日に始まった。
モナークズ・ジャーニーとは「モナーク(Monarch butterfly=オオカバマダラ)の旅」という意味。
北米東部のオオカバマダラは、毎年秋になると越冬のため、カナダや米北部からメキシコ中部へと大移動する(注:北米西部の集団はカリフォルニア沿岸など、東部とはルートが異なる)。
同展は、グラフィックノベル作家で環境保護主義者のピーター・クーパー(Peter Kuper)氏が、オオカバマダラの過酷な長距離の「渡り」をイラストで表現したもの。


オオカバマダラの秋の渡り(大移動)は集団で行われ、また複数世代にまたがるもので、メキシコまでの長距離移動を担うのは主に夏の終わりから秋に生まれる世代だという。
専門家によると、オオカバマダラがその移動を「壮大な旅の一部」として理解して意図的にやっているわけではなさそうだ。
「彼らがしようとしているのは、ただ餌を食べ、成長し、移動しながら、次世代へと命をつなぐ、ただそれだけなのです」
同館の無脊椎動物学部門長で、昆虫の進化などを研究するキュレーター、ジェシカ・ウエア(Jessica Ware)博士はこのように説明する。
つまりオオカバマダラの自然の営みが、結果として世代を超えた「大きな旅」を形作っている。
またウエア博士によると、近年は環境の変化で昆虫の減少が問題となっており、蝶についても例外ではなく、オオカバマダラの個体数も大きく減少しているという。
「遅すぎることは決してありません」と、個体数減少問題への取り組みの重要性についても説いた。

「素敵な展示で引き込まれました」と話すのは、プレビューイベントに参加した日本蝶類学会の副会長、斎藤基樹さん。
「移動風景が北部の森林からメキシコの砂漠地帯へと変化が富むのでおもしろいし、モナーク(オオカバマダラ)の旅を一つの物語として描いているのが素晴らしいです」
このような長距離移動の様子をダイナミックに伝えるスタイルの展示は、日本では見たことがないという。
「日本にもオオカバマダラと似た生態で長距離を移動するアサギマダラという種がいます。ただ、北米大陸に比べると日本ではダイナミックな風景の変化に乏しく、また集団で越冬するような場所も見つかっていないので同じような展示は少し難しいのかもしれません」
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展示場所は、2023年にオープンした同館のリチャード・ギルダー・センター(通称ギルダーセンター)の2階で、蝶の標本が保管されている「バタフライ・ファシリティ」前のスペース。
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American Museum of Natural History(AMNH)
Floor 2, Gilder Center, 200 Central Prk W, New York, NY 10024
ヘッダーイメージ:壁画はピーター・クーパー氏によるもの。 © Kasumi Abe
Text and photos by Kasumi Abe 安部かすみ 本記事の無断転載禁止
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