ここ1週間はニューヨークのトライステートエリアで偶然コンサート取材が重なり、ホンモノのエンタメに触れる機会が続いた。とて楽しく充実し、そして自分が日本にいた日々を懐かしく回想する機会にもなった。
知らない人のために軽く説明すると、今私はこうやって在ニューヨークのジャーナリストとして活動させてもらっているが、もともとのキャリアは90年代、日本の出版社で、雑誌の音楽ページの編集者から始まった。編集者と言っても取材をして原稿を書き、写真も自分で撮った。
当時はフィルムカメラの時代。撮ったその場で確認できないから絶対に失敗はできない。1枚1枚、慎重だった。
でもこの時に学んだ慎重さや被写体との距離感などが、今の自分がデジカメを使って撮影する時の糧になっている。無駄なものは何もない。

Photo by Annushka Ahuja on Pexels.com
インタビュアーとして新人のころは何もわからないから、最初は先輩に同行したり、付き添ってもらったり。途中で沈黙にならないよう、たくさん質問項目を考えてインタビューに臨む。
どのくらいの業務量だったかと言うと、ほぼ毎日インタビューをし、夜はレコード会社やプロモーターから招待していただいたコンサートを観に行った。コンサートは週末も多かったので、20代の私は週7日、音楽どっぷりの日々だった。
ロックからポップスまで、インタビューは多いときで1日3組くらいの時もあった。スケジュールオーバーの時は同僚に代わりにインタビューをお願いしていた。
私一人で、相手はメンバー4人(当時絶頂期)の超大物スターを取材する機会もあった。メンバーは皆さん良い方だったけど私を囲んだ10名ほどのスタッフの「下手なこと聞くなよ」オーラ(圧とも言う)がすごかった(苦笑)。
キャンペーン疲れで無愛想なグループ、何を聞いても口数の少ないロックスターも中にはいたけど、そのたびにアイスブレイクの方法を考え、記者としての度胸はこの時の経験を通して養われた。(昔はこう見えて緊張しいだった)私が今、誰に取材しても緊張しないのはこのような経験のおかげ。
どの人も相手は売れっ子アーティスト/芸能人。でも多くはとてもいい方たちばかりで良い思い出ばかり。一番嬉しかったのは、10代の頃に大ファンだったチェッカーズの藤井フミヤさんへの取材が叶った時。もちろん仕事として会うわけだからファンですとは告白しないけど、自分の笑顔に出ていたと思う。在職中は一度きりならず複数回、フミヤさんにインタビューする機会に恵まれた。
退職前のこれが最後のインタビューというとき「実はニューヨークに留学することが決まり、今日が最後なんです。そしてファンでした」と告白した。するとフミヤさんは「へ〜、楽しみだね!」と一緒に喜んでくださり“アメリカはいいよ、到着したその日からアメリカ人として扱ってもらえるから”という趣旨の言葉をかけてくださった。在職中は記者たるものファンになってはいけないというマイルールに従い、写真やサインをお願いしたことはないが、最後に一緒に写真を撮っていただいたのは、一生忘れられない思い出。
そんなこんなで、この1週間は大物級のコンサートが重なり、音楽ビジネスの端くれとして90年代の日本の音楽シーンにどっぷり浸かっていた20代の自分を懐かしく思い出していたのだった。
しかも私が見せてもらったのは自国から離れアメリカで挑戦している規模のビッグアーティスト。90年代に比べるとずいぶんグローバルな時代になったもんだ。
また、コンサートで声を張り上げるってストレス発散になると改めて気づいた。とても楽しい1週間だったー。
私が音楽担当だった時代から30年が経ち、写真はデジカメで撮ってデータ入稿し、zoomインタビューで世界中の人に取材ができるようになったけど、基本的にやっていること(対面で話を聞いたり撮影したり)や本質は変わっていない。AI全盛期だが、経験や記憶を盛り込んだり相手の目を見て真意を汲み取るという人間の仕事は残っていくんじゃないかなと思う(希望)。
そんな音楽の仕事とは別の話になるが、この週末は10代の若者と話す機会も多かった。多くはバレエ関係でニューヨークに来ている人たち。
彼らとの話を通して、学校で習っていることやAIについて思っていることが聞け「時代の勉強」になった。刺激になったのだろう、懐かしい自分の日本時代のことも含めて、翌朝あるアイデアがピコンと浮かんだ!このプロジェクトは今年中に現実化させようと思う。
(まとめ)音楽ってやっぱりいい♪ それから、どんな経験も無駄なことはない。そして若い人と話すのって学びにもなるし、いいね。
ヘッダーイメージ: © Kasumi Abe
Text by Kasumi Abe 安部かすみ 本記事の無断転載禁止
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