YOASOBIのニューヨーク・ブルックリン公演がとんでもない盛り上がり!北米ツアー2026 現地で見たステージ演出とライブの魅力

この夏、北米ツアー「NEVER ENDING STORIES」を実施中の2人組音楽ユニット、YOASOBI。

ikura(ボーカル)とAyase(コンポーザー)によるYOASOBIは、「小説を音楽にする」という独自のコンセプトで注目を集め、海外でも人気が高まっている。

8月4日にボストンで幕を開けた今年の単独公演。6日にはニューヨーク・ブルックリン、8日にはカナダ・ハミルトン、12日にシアトル、14日にオークランド、16日にロサンゼルスと北米6都市*を巡っている。

(* 7月31日のカナダ・モントリオール、8月2日のアメリカ・シカゴでのフェス出演も含むと8都市)

筆者は6日、ブルックリン公演を現地で観た。

YOASOBIにとって今回のツアーは、北米で自身の最大規模となる。前回のニューヨーク公演から2年、今年はラジオシティ・ミュージックホールからブルックリンの大型アリーナ、バークレイズ・センターへと舞台を移し、会場規模を拡大した。

北米では近年、日本のアニメ人気を背景に、アニメと音楽の結びつきが強まっている。

YOASOBIもアニメ『【推しの子】』のオープニングテーマ『アイドル』などをきっかけに、海外での認知度が高まっている。筆者も今回のツアーで、会場に集まったファンの熱気から、その注目度の高さを実感した。

© Esther Kim

この日のバークレイズ・センターの客層は、筆者が見た限りでは、老若男女さまざまな観客がいたが、特にアジア系の若い観客が多く、男性ファンも目立った。アリーナの反対側に座っていた筆者の友人も同じような話をしていた。

公演が始まると、そんな場内の観客は楽曲に合わせて体全体でリズムをとり、「小説を音楽にするユニット」YOASOBIの世界観に入り込んだ。

LED照明と巨大スクリーンに映し出されるアニメやCG映像が楽曲とシンクロし、音楽・映像・物語性が融合した幻想的なステージが次々に展開されていった。

観客は日本語の歌詞を口ずさむというより、メロディーやリズム、ステージ演出を含めて体を揺らしながら、ライブ全体を楽しんでいるようだった。

ところで、ニューヨークに住む筆者自身がどのようにYOASOBIを知ったのか。

まず、コンサートが開催されることはニューヨークに住む日本人の友人に聞いた。楽曲を聴いてみると、聴いたことのある曲がたくさんあり驚いた。当地で生活する中で、ストリーミングサービスやSNSなどを通じて、自然と楽曲を耳にする機会があったようだ。

例えば『ハルカ』『もう少しだけ』『あの夢をなぞって』『夜に駆ける(英語版Into The Night)』『群青(英語版Blue)』『ラブレター』『アイドル』は、YOASOBIというユニット名を意識する以前から、筆者の耳にも届いていた。

コンサートに同行したアメリカの友人もYOASOBIについて聞いたことがあるといい、楽曲について「Uplifting(聴くと気分が明るくなり、前向きな気持ちになれる)な曲が印象的。日常を忘れてすごく気分転換になった」と話した。

公演中のMCでは、ikuraとAyaseが英語を交えながら観客との距離を縮める場面も見られた。

ikuraはニューヨークの語学学校で2ヵ月、英語を学んだエピソードを披露した。滞在中、たくさんの素晴らしい出会いがあったと振り返り「この地で再び本当の自分を見つけ出し、自分でいることの大切さを学びました。だからここのステージに立てて本当に幸せ」「ニューヨークの街と人々へ恩返しをしたい」と英語で語った。

Ayaseは会場中を見渡し、「すごいね、めちゃくちゃ(お客さんが)いるんだよ」「素晴らしい。これはお母さんにも自慢ができるね」と喜びを表すと、ikuraも「親孝行やね」と同意。

さらにAyaseは「我々はJ-POPというものを勝手に背負って日本で活動し、こうやってUSの地にライブをしに来て、これだけたくさんの人がJ-POPやジャパニーズカルチャーを愛してくれていることが本当に誇らしくてたまらない。日本のみんな(ファン)にも見せてあげたいと心から思います」と言った。

日本語がわかる人がどれくらいいるかと尋ねると、会場中から大歓声が上がり、「本当に?」と笑顔を見せる場面も。日常会話で使える日本語をいくつか紹介するなど、観客との交流を楽しんだ。

最後には、「もっともっと大きくなって帰ってこよう。この終わらない物語(ツアータイトル「NEVER ENDING STORIES」)の旅をまだまだ続けて、必ず帰ってきます」と誓い、会場を沸かせた。

© Esther Kim

ブルックリン公演後、YOASOBIの2人からコメントが届いた(以下、一部抜粋)。

まず前回(2024年)と比較して一番変化したと感じる部分は何かと尋ねたところ、「よりJ-POPがこの街に浸透しているように感じました。私たちだけでなく他のアーティストも含め、世界に向けてJ-POPを発信していこうと一丸となって取り組んできたことが、2年の時を経て今回バークレイズ・センターという大きな会場でのパフォーマンスに繋がったと思っています」と答えた。

またブルックリン公演自体について、「『あの夢をなぞって』のパフォーマンスの際、目の前のカップルが熱いキスを交わしているのを目の当たりにしました。お互いに深い愛を交わしている姿から音楽の持つ力を感じられ、心地良い時間を過ごしてくれているのだと、こちらも嬉しくなりました」

「皆さんとても熱狂的で、大きな歓声を上げてくれたり一緒に歌ったり踊ったり、一人ひとりがその瞬間を楽しむことに全力を注いでいました。その姿を見て我々も気持ちが上がりますし、相乗効果で良い空間が生まれていることも感じられました。

日本語を母国語としていない方々が一緒に歌ってくれるのはきっと簡単なことではなく、日頃から音楽を楽しみ生活の一部として取り込んでくれている証だと思います。公演を通してYOASOBIの音楽を深く愛してくれていることが伝わってきました」

アジア発の音楽が海外で響く理由(筆者なりの考察)

筆者はつい最近、K-POPグループのコンサートを観る機会があった。そして数日後にYOASOBIのステージを見ながら、アジア発の音楽が海外で受け入れられる背景について改めて考えた。

前者はキャッチーな楽曲と高度なダンス&ラップのパフォーマンス、そして女性ファンを中心とした強固なファンダムに支えられ、アメリカで確固たる地位を築いた。

一方YOASOBIは「小説を音楽にする」という独自のコンセプトに加え、耳に残りやすく口ずさみたくなるメロディーと幻想的な映像演出により、アニメを入口に日本の音楽に触れたファンを含め、言語の壁を越えて幅広い世代を魅了しているように感じた。

日本人として筆者は、YOASOBIのような日本発の個性的なアーティストが、今後もっともっとアメリカをはじめ世界で活躍してほしいと願う。

今後、J-POPがさらに海外へ広がり定着していく鍵の一つは、YOASOBIのような日本発のジャパネスクな世界観や、記憶に残る音楽体験を生み出し、海外のファンへ着実に届けていくことにあるのかもしれない。そんなことを、今回のコンサートを観ながら考えた。

引き続きこの北米ツアーで、YOASOBIがどのように現地のファンを魅了していくのか注目したい。

YOASOBI

2019年11月に公開したデビュー曲『夜に駆ける』は、公開直後から瞬く間に注目を集め、国内の各種配信チャートでも1位を席巻、複数カ国のバイラルチャートにもランクインし、2020年の年間Billboard JAPAN総合ソング・チャートとストリーミング・ソング・チャートでは1位を獲得。現在ストリーミング累計再生回数は史上初となる10億回を突破している。

ヘッダーイメージ: LEDスクリーンを生かした映像演出。YOASOBIは「小説を音楽にするユニット」として知られ、物語性を重視した映像表現をライブでも取り入れてきた。初めてライブを見る人でも作品に入り込みやすい。© Esther Kim

Text and video by Kasumi Abe 安部かすみ 本記事の無断転載禁止

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