80年代アメリカの音楽を聴いて育ち、90年代音楽編集者・記者を経て、2000年代以降ニューヨークで活動する安部かすみが趣味の領域でやっている洋楽の和訳シリーズ。自分が好きな曲から思いついたものをランダムにピックしています。
2026年FIFAワールドカップのセミファイナルに駒を進めたイングランド。今日はいよいよアルゼンチンと対戦します。決勝に進むことができるか?
今日は、イギリス人が試合後に大合唱する名曲を紹介します。
✔️ 今日の1曲
Wonderwall
Oasis
(以下の和訳は曲の一部)
Today is gonna be the day that they’re gonna throw it back to you 今日はきっとキミが僕に答えを返してくれる日
By now, you should’ve somehow realised what you gotta do 今ごろキミは何をすべきなのか気づいているはず
I don’t believe that anybody feels the way I do about you now 僕が今、キミを思う気持ちがわかる人なんて誰もいないと思う
(And)backbeat, the word is on the street that the fire in your heart is out そしてビートの裏側ではキミの心の炎はもう消えてしまったって噂が通りで流れている
I’m sure you’ve heard it all before, but you never really had a doubt きっとキミはそんな話を何度も聞いてきたんだろう。でも本当は一度も疑ったことなんてなかったはず
I don’t believe that anybody feels the way I do about you now 僕が今、キミを思う気持ちがわかる人なんて誰もいないと思う
And all the roads we have to walk are winding 僕たちが歩いていかなければならない道は曲がりくねっている
And all the lights that lead us there are blinding 僕たちを導いてくれる光はまぶしすぎて目がくらむほど
There’re many things that I would like to say to you, but I don’t know how キミに言いたいことはたくさんあるのに、どう言えばいいのかわからない
Because maybe, you’re gonna be the one that saves me なぜなら、もしかしたらキミこそが僕を救ってくれる人かもしれないから
And after all, you’re my wonderwall そして結局のところ、キミは僕のワンダーウォール
[…]
Oasis – Wonderwall (Official Video)
Spotifyで歌詞をチェック
Kasumi’s Note
1995年発表のOasis(オアシス)の名曲「ワンダーウォール」。日本でもめちゃくちゃ大ヒットした。
▪️ 試合後、大声で大合唱する選手の姿に、フットボール発祥の地であるイギリスの代表としての矜持を感じる。またファンも一緒に合唱し、さらに一体感が高まっている。
▪️ You’re my wonderwall(キミは僕のワンダーウォール)の「Wonderwallって何?壁?」という疑問が出てくるが、調べると特定の意味を持たない造語で、作者のノエル・ギャラガー(ギター)は「自分を救ってくれる誰か(何か)」「心の支え」のようなニュアンスで使っているとのこと。
▪️ ただ、この曲の魅力は「キミが僕を救う」といった他人を頼る気持ちや、心の炎を失ってしまった男性というより、心の奥底では決して自身の能力を疑っておらず、心から信じられる特別な存在がいることで希望の象徴のようにも聞こえる。
▪️ 筆者がFIFAでの大合唱を聴いてもう一点(改めて)感じたのは、オアシスは90年代のイギリスの労働者階級・白人ロック文化を背景に生まれたバンドであり、音楽的ルーツはブリティッシュ・ロック。つまりはイギリスの白人層の音楽だということ。
試合の勝利後の冒頭映像でも、選手の反応には文化的背景の違いが見え隠れするし、アメリカ在住の筆者も納得できる。もちろん歌っていない選手が必ずしもこの曲を知らないとは言えないが、「ワンダーウォール」が特定の世代や文化圏で特に強く共有されてきたアンセムであることは確か。
これはイギリスに限った話ではなく、アメリカでもヒップホップ、R&B、カントリー、ロックなど音楽文化のコミュニティが分かれて発展してきた。オアシスの音楽が誰にでも知られた世界的ヒット曲でありながら、特定の文化的ルーツを持つ作品であることも興味深い。
Translated by Kasumi Abe 無断転載禁止
▶️ NY在住24年の筆者が現地視点でニューヨークを読み解く「音楽カルチャー」
和訳、ことばのチョイス、ひとこと解説はアメリカ在住歴の長い当ブログ管理人・安部かすみの感性やアメリカ生活の経験をもとに、私自身の視点で生みだされたものです。内容は著作権侵害にならぬよう配慮しています。
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