9.11から25年|世界貿易センター最上階レストラン「Windows on the World」に閉じ込められた人々

2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロ事件から、今年で四半世紀となる。筆者は毎年この時期、同時多発テロ(9.11)を経験したニューヨーカーを取材し、ニューヨークより発信している。

取材を毎年続ける中で、これまで何回か出てきた共通ワードがある。

その1つは、北棟の最上階(106、107階)にあった眺めの良い高級レストラン「Windows on the World」(ウィンドウズ・オン・ザ・ワールド)だ。

ある人はよく利用していた大好きなレストランだと振り返った。

ある人はお父様がそこで働いており、テロに巻き込まれて亡くなったと話した。(→後編にて発信します)

今月1日に「Windows on the World」で働いていた人々のストーリーが「CNAインサイダー」*で公開された。

  • シンガポールの放送局、CNA(Channel NewsAsia)による、アジアの人々や社会問題に焦点を当てたドキュメンタリー番組

このドキュメンタリー番組の内容がなかなか興味深い。

番組では、出社時間が遅れて事故を免れた生存者、夫を亡くした妻などの証言がある。

まず筆者が驚いたのは、あの日このレストランに閉じ込められた人の数だ。

まずこのレストランは普通のレストランではなく、複合施設的な大規模な店だったようだ。

この番組によると、106階には大規模な宴会場、会議室、コーポレートオフィスが、107階には2つレストラン、バーエリア(The Greatest Bar on Earth)、ワインセラーがあった。

また、この朝はたまたまカンファレンスが開催され、午前8時過ぎという早い時間帯にもかかわらず、すでに170人もの人々がこの2フロアにいた。

内訳

  • レストラン従業員:73人
  • カンファレンス参加者:87人
  • その他の朝食客:4人
  • 改装工事作業員:6人

1機目の旅客機が激突したのは午前8時46分、北棟の93階から99階にかけての7フロアだ。

報道によると、飛行機衝突後、上層階は急速に煙に覆われ、衝突地点の上階に位置していたWindows on the Worldは数分後には煙が充満していたという。おそらく耐えられないほどの高温となり激しい煙に包まれたであろう。スタッフが何度も緊急電話をかけ、助けを求めていた。

このドキュメンタリーを観て、筆者の心に残ったもう一つのポイントは、遺族の言葉。

レストランで働いていたインド出身の男性従業員、ジュピター・ヤンベン(Jupiter Yambem)さんの話だ。ジュピターさんは新天地アメリカで妻と子ども、仕事にも恵まれた。

番組によると、Windows on the Worldではジュピターさんのような移民も多く働いていた。

ジュピターさんの灰を故郷の湖にまいたという兄(もしくは弟)の言葉が、私の心に強く響いた。

「25年が経った今、兄の魂を思い出すと、心が満たされるような気持ちになります」

「彼は今、あの世で安らかに過ごしているからです(happy hunting grounds)」

「そして彼の慰霊は、ヒマラヤ山脈の峰々にあります」

(下記の動画39:39分あたりから)

… 泣かせるじゃないか….。

きょうだいを9.11で失ったこの男性の言葉を英語で最初に聞いた時、「心が満たされているってどういうこと?」って思った。

でも次第に、この男性は遺族として悲しみを抱え続けながらも、25年という歳月の中でひとつの区切りをつけた思いを感じた。

痛ましいテロ事件で命を奪われたジュピターさんだが、彼の魂は今、天国で安らかに平和に過ごしているとこのきょうだいは信じている。だからこそ、彼を思い出すことで心が満たされるという感覚が生まれているのではないだろうか。

そして、ヒマラヤの峰々に彼の慰霊を重ねるという言葉には、インドのとても美しい死後の世界への哲学が込められているように感じた。

同時に、永遠のお別れをした私の大切な人たちのことも考え(テロで殺されたわけではないけど)、安らかな状態であの世にいるんだってことがわかって、少し安心した。


Trapped Above 9/11 Impact Zone: The Untold Story Of 73 Restaurant Workers | Windows On The World(CNA Insider)


ありし日のWindows on the World

The Legacy of New York City’s Windows on The World | Top of The World Official Trailer | CNN

後編につづく)

ヘッダーイメージ:イメージ写真

Text by Kasumi Abe 安部かすみ  本記事の無断転載禁止


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