イオンモール熊本の爆発で死亡した22歳女性店員。筆者が重ねたニューヨーク9.11テロ犠牲者との共通点

最大震度7を記録した熊本地震。

RKK熊本放送によると、嘉島町のイオンモール熊本で発生した爆発事故で亡くなった7人(現時点)のうちの一人は、爆発が発生したとされる場所に近い2階の店舗で働いていた22歳の女性店員だった。

その女性店員は、地震直後に一度建物の外に避難したものの、その場で偶然会った親戚に対して、金庫にお金を入れなければというような言葉を言い残し、建物に戻って被害に遭ったという。

このキャッシュレス時代に店舗にあった現金の額がどれほどのものだったかは定かではないが、どれほどであったとしても、従業員の命と引き換えにできるものではない。

イオンモールの記者会見では、災害時の社内ルールが「いったん避難をした者は館内に入らない」と示されていた。

その女性もまたいつ揺れるかもわからない建物に戻り、不安でいっぱいだっただろう。母親はインタビューで「会社には真実をはっきり話してほしい」とコメントしているが、RKK熊本放送に対して運営会社は「取材はお断りしている」と返答したという。参照

誰もが予想だにせぬことが起きたというのは理解できるが、企業は従業員の命に関して社会的責任がある。事故に至った経緯や指示系統について、企業には誠実な説明が求められる。

Updetad:その後の報道で、犠牲となった女性店員は大竹玖瑠美(くるみ)さんと報じられました。

事故でお亡くなりになられた方のご冥福をお祈りいたします。

ニューヨーク同時多発テロ(9.11)との共通点

筆者はこのニュースを聞いて、あることを思い出した。ニューヨークで毎年追悼式を取材している2001年9月11日に発生した同時多発テロである。

一度避難した後に職場へ戻ったという点に共通点があるように思う。

筆者は3年前、追悼式に参列するためニューヨークを訪れた住山一貞(すみやまかずさだ)さんを取材した。一貞さんは、世界貿易センターの南棟の富士銀行の職員でテロの犠牲となった杉山陽一さんの父親だ。

一貞さんによると、飛行機がビルに激突した後「富士銀行の大部分の方は避難したんだけど、保安や警備の責任者と支店長は、保安のためにオフィスに戻ったんです。そこへ飛行機が突っ込んできたと聞いています」

航空機が北棟(1WTC)に激突したとき、多くの人は「事故」だと思った。その時点ではまさか2機目も同じように激突するとは当時誰もが予想だにしなかったため、筆者がこれまで取材した遺族や関係者の証言でも、「南棟(2WTC)は大丈夫、安全」とされていたようだ。そうして、いったん避難したものの何らかの理由で職場に戻り、1機目の衝突から約17分後に2機目も衝突し、被害に巻き込まれた人がいたと聞いている。

もちろん、イオンモールの事故と9.11のテロは原因も規模もまったく異なる出来事である。しかし筆者の中でこれらが重なったのは、一度は安全な場所へ避難しながらも、職務上の理由で再び危険な建物内へ戻り、その結果、命を落とした人がいたという点だ。助かったはずの命が、職務を果たそうとしたことで失われたという事実に共通する悲劇がある。

2023年の住山一貞さん取材記事

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ヘッダーイメージ: イメージ写真

Text and photo by Kasumi Abe 安部かすみ 本記事の無断転載禁止

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