犠牲者はトランプ氏の左後方の位置にいた。撃たれた一帯は血の海に…映像から見えた直後の現場

(以下は7月15日の投稿より) 13日にトランプ氏が銃撃された現場で死亡したのは、同州在住で消防活動をする、コリー・コンペラトーレ(Corey Comperatore)さん(50)だった。 CNNによると、コンペラトーレさんはトランプ氏の熱心な支持者で、事件当日はトランプ氏の演説に参加できることをとても楽しみにしていたという。 コンペラトーレさんと同じように観客席にいた救急医の男性の証言では、銃声が聞こえた後、撃たれた人がいるというので近づくと、頭部を撃たれた男性(コンペラトーレさん)が倒れており、大量の出血があったという。 右耳の上を弾がかすり負傷したトランプ氏が演壇でうずくまりシークレットサービスに介抱されていたまさにそのとき、トランプ氏の演壇に向かって左奥(左後方)の観客席では、一人の命が奪われた。 その当時の様子を伝える動画も残されている。 その映像を見ると、銃撃直後はその左奥一帯もカオスと化していたことがわかる。 コンペラトーレさんは当時、家族と一緒に観客席(階段のシート)の上から数段下の左寄りにいたと見られている。 発砲音がしたということで観客席では多くの人が身を屈めた状態だったが、数人が立ち上がり、銃撃されたコンペラトーレさんを指差しながら、「頭を撃たれた人がいるぞ!」と護衛隊(シークレットサービスや地元警察)に助けを求めている。「撃たれただと?」という声も聞こえる。 女性の何人かはショックを受けて手で口を押さえ、また倒れたコンペラトーレさんの近くには星条旗のデザインのキャップをかぶった女性が声をあげて泣き叫んでいる。 その後は、護衛隊が数人やって来て、その場にいる大勢の人々に「MOVE」と言い、ここから立ち去るように促す。コンペラトーレさんの周囲には3、4歳くらいの女の子を抱きかかえる母親らしき人の姿も。 警官に混じってUSAというロゴ入りの白いTシャツに赤いキャップの男性(前述の医師)がおり、コンペラトーレさんに心肺蘇生法をしている。星条旗のデザインのキャップの女性は見ていられないようで、コンペラトーレさんから少し離れた場所で目頭を押さえて泣きじゃくり、ピンクのキャップの女性もその場でうずくまり、どうして良いかわからない様子。時々グレーのTシャツの男性と3人で抱き合っている。 その後警官が「ほかに撃たれた人はいないか」「みんな大丈夫か?」と確認。そして群衆に向かって「EVERYBODY, DOWN」という声。両手を使い大きなリアクションで人々に身を屈めるよう叫ぶ。 心肺蘇生を試みていた男性は、警官に手を止め離れるように促される。その男性の両手や脚、Tシャツは血だらけだ。 Photo: 銃撃事件後の会場。コンペラトーレさんはこのような階段のベンチシートにいて演説を聞いていた時、突然銃で頭部を撃たれた。 その場にいた一人が、コンペラトーレさんの血だらけの頭部に柄物のタオルをそっとかける。星条旗のキャップの女性はそれを見て、また両手で目を覆う。すぐに警官3、4人がコンペラトーレさんを抱え、観客席から後ろのテントへ運び出す。先ほどの柄のタオルは真っ赤に染まっている。家族らしきキャップの女性2人とグレーのTシャツを着た男性も続いて退場。 コンペラトーレさんらが座っていた辺り一帯は血みどろだった。そこに残った数人の腕や衣類にも血がついている。 心肺蘇生をしていた血だらけの男性のために、別の男性が「水はないか?」と周囲に尋ねると、10本以上のペットボトルが次々に集まった。血だらけの男性は水を頭からかぶり、手や脚に付着した血を洗い流していた。 亡くなったコンペラトーレさんのご冥福をお祈りいたします。 Text by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース エキスパート「ニューヨーク直行便」(c) 安部かすみより一部転載、加筆)本記事の無断転載禁止

銃撃犯は事件の数時間前に50発の銃弾を購入。爆発物でほかに注意を引く実行計画だった可能性も

トランプ氏を銃撃した20歳のトーマス・マシュー・クルックス(Thomas Matthew Crooks)容疑者が、発砲の数時間前に地元の銃砲店で銃弾50発を購入していたとCNNは報じた。 クルックス容疑者がトランプ氏を銃撃した際に使用したライフルは父親が登録、合法的に所持していたものだったことがFBIの捜査によりわかっている。 クルックス容疑者の父親が登録、合法的に購入した銃は20丁以上になるという。 事件後、クルックス容疑者を調べたところ、遺体からは送信機が、また事件現場となった会場「バトラー・ファーム・ショー」に駐車していた容疑者の車のトランクからは爆発物と思われるものが入った金属製ボックスと配線で繋がった受信機(レシーバー)が見つかったという。 容疑者は護衛チームの注意を自らの位置(発砲した建物の屋根)から逸らすために、車内の爆発物を爆発させるつもりだった可能性があるとして、当局は慎重に捜査を進めている。 容疑者は低層の建物の屋根に登る際、そして登った後に周囲の人々に見つかっており、その中には護衛チームに報告した人もいたが、その「脅威」に対するシークレットサービスの起動は遅かった。目撃者の報告を受けた地元警察が動き出したことで、容疑者は計画を早め、注意を逸らす目的で使用するつもりだった爆発装置を使えなかった可能性がある。 Text by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース エキスパート「ニューヨーク直行便」(c) 安部かすみより一部転載)本記事の無断転載禁止

高校時代に数学・科学系で表彰歴も。トランプ氏銃撃の20歳の容疑者についてわかっていること

Photo: ライフルのイメージ写真 (以下は7月14日の投稿より) 容疑者は、事件現場から南に40マイル(約64km)離れた同州ベセルパーク在住のトーマス・マシュー・クルックス(Thomas Matthew Crooks)という20歳の男だった。 クルックス容疑者は現場でシークレットサービス(SS)のスナイパー(狙撃兵)に射殺された。また集会参加者1人が死亡し、2人が重傷を負った。死傷者は全員男性。法執行機関は現場から容疑者が使用したとされるライフル(AR15型)を回収した。AR15型は殺傷力が高い半自動小銃として知られ、過去の銃乱射事件などでも使用されている。 アメリカでは通常ID(身分証明書)を携帯するが、CBSニュースによると容疑者はIDを携帯していなかったため、遺体のDNAを分析し身元を生体認証で確認したという。 容疑者の顔写真も公開されている。ニューヨークポストによると事件当時、銃系の話題を扱う人気のYouTubeチャンネル「デモリションランチ(DemolitionRanch)」のTシャツを着ていたという。 USAトゥデイによると容疑者は2003年9月20日生まれで、ペンシルベニア州の裁判記録と連邦裁判所の記録に、容疑者の犯罪歴は見当たらない。 ピッツバーグから南方へ車で20分強の場所にある緑豊かな郊外、ベセルパークにある自宅は3ベッドルームのレンガ造りで、1998年以来容疑者の両親とされるマシュー・クルックス氏とメアリー・クルックス氏の名義。同メディアが両親に電話したが、一晩中返答はなかったという。 Photo: 狙撃された後、自分の足で演壇を降りSSに守られながら車に乗り込むトランプ氏。 Photo: 容疑者は、トランプ氏に向け約135メートル離れた製造工場の屋根から複数回発砲したとされる。 容疑者は2022年、全校生徒約1300人の地元の公立高校を卒業している。この高校主催で毎年恒例の全米数学・科学イニシアチブ・スター賞(National Math & Science Initiative Star Award)の受賞者として表彰され、500ドルの賞金/奨学金を受け取ったようだ。同年の地元ニュースに掲載されていた。 また、容疑者は2021年1月のバイデン大統領の就任式の日に、リベラル派の政治活動のための資金調達プログラム、ActBlue(アクトブルー、民主党寄りとされている)に15ドルの寄付歴があったという。翌年にはペンシルベニア州アレゲニー郡で有権者登録をしており、「共和党員」として届け出ていた。なぜ共和党の大統領候補者を暗殺しようとしたのか、その理由や事件の動機について慎重に捜査が進められている。 関連記事 ◉ 米要人取材現場で間近で見た【シークレットサービスの護衛】や【ケネディ米大統領暗殺事件】についても以前書いています。 ↓↓↓ 【アメリカの警備も実は完璧ではない】 米同時多発テロ以降、念には念を入れた厳重警備が敷かれるようになった。それであれば警備が100点満点かというと、実はそうでもない。警備上の大失態と言えば、2021年… Text by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース エキスパート「ニューヨーク直行便」(c) 安部かすみより一部転載)本記事の無断転載禁止

【動画】一発目の銃撃で耳触る。発砲音は少なくとも3度、その後連続で鳴り響き…トランプ氏が銃で負傷

ペンシルベニア州での選挙集会の会場で13日、有権者を前に演説中だったトランプ前大統領が狙撃され、負傷した。 容疑者はシークレットサービスのスナイパー(狙撃兵)に射殺され、聴衆1人が死亡、1人が重体であると米メディアが報じている。 FOXニュースが伝えた事件当時の動画 当時トランプ氏は資料を見せながら、この国が直面している移民問題について演説していた。 銃撃音は0:38あたりから。 直後にトランプ氏は右手で右耳を触って確認している。最初の銃撃音を含め少なくとも3発の銃撃音が聞こえる。トランプ氏が身を屈めた後、連続で射撃音が鳴り響き、聴衆から悲鳴が上がった。 (最初の3発と連続の射撃音について、犯人が発射したのは何発か、またどこからシークレットサービスおよび現地警察による応戦のものかは不明) トランプ氏がうずくまっていたのは1分ほど。その後シークレットサービスに抱きかかえられて立ち上がり、聴衆によるUSAコールの中、拳を掲げ自分の足で退場した。 銃撃犯はトランプ氏から148ヤード(約135メートル*)離れた低層の建物の屋上におり、そこから壇上の同氏を狙ったとみられている。ここはシークレットサービスの警備が及んでいなかったということか。 トランプ氏は無事だと発表されているが、15日から4日間の日程でミルウォーキーで開催される共和党大会に予定通り参加できるのか、動向が注目される。 (*距離については100メートル以内だったなど、情報が錯綜しています) Text by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース エキスパート「ニューヨーク直行便」(c) 安部かすみより一部転載)本記事の無断転載禁止

トランプ罪状認否で、不倫疑惑の元ポルノ女優の検索爆上がり。その時メラニア夫人は?

Photo by Vlada Karpovich on Pexels.com アメリカでは、トランプ前大統領に対して行われた4日の罪状認否のニュースで持ちきりだ。 トランプ氏はこの国の大統領経験者として初めて起訴された人物となった。2016年の大統領選前、不倫の口止め料の支払いをめぐる疑惑など34の罪で起訴されたが、裁判所でもその後の演説でも一貫して無罪を主張し全面的に争う姿勢を示している。 罪状認否が行われたニューヨーク市マンハッタン区の裁判所前ではこの日、20年の大統領選の期間中によく見かけた光景が再び繰り広げられた。トランプ支持派と反トランプ派の人々が対峙し、互いの主張を譲らなかった。 裁判所内には著名なテレビレポーターでも入ることができなかったようで、入ることができたのは前日から並んだごく一部の限られた記者だけだった。 ニューヨークタイムズによると、法廷内に入るための記者の列は罪状認否の24時間以上前、3日午後2時ごろからできたそうだ。早くから列に並んだ同紙の記者はそこで一夜を明かし、翌日午後にやっと中に入ることができたという。 法廷に現れたトランプ氏について、その場で目撃することができた記者はこのように伝えた。「何度もテレビで観てきたが、この日のトランプ氏はまさに刑事被告人そのものという風貌だった」「(心なしか)老けたように見え、不安な表情と疲労が垣間見えた」。 これまで番長のような威勢を放ってきたトランプ氏だったが、司法の中で見せられる力は限られたものだったようだ。罪状認否の手続き中のほとんどは発言の機会がなく終始無言で脇役となり、終盤でようやく発言の機会が与えられると、2つの単語だけを放ったという。それは「No Guilty(無罪)」だった。 前大統領が刑事告訴されるという前代未聞の歴史的な出来事は、皮肉なことにポルノ閲覧サイトにも影響を及ぼしているようだ。 06年からトランプ氏と不倫関係にあったとされる元ポルノ女優、ストーミー・ダニエルズ氏について、TMZによると、とあるポルノサイトではその名の検索が急増しているという。 「Stormy Daniels」の検索数は先月29日の時点で3万4500件だったが、トランプ氏が起訴された翌30日には63万件に爆上がりし、罪状認否の今月4日はさらに2万件以上増え65万件に達するなど、トランプ氏の動きと共にダニエルズ氏への注目度も高まっているという。 トランプ氏は罪状認否後、プライベートジェットでフロリダ州の邸宅、マー・ア・ラゴ に戻り、400人規模の支持者を前に約30分演説した。起訴について「前例のない規模の選挙妨害だ」「我々一族への迫害でもある」「起訴されるのはむしろ地区検事のアルヴィン・ブラッグの方だ」とバイデン政権や民主党員を非難し、自身の無罪そしてMAGAの主張を貫いた。 演説でトランプ氏は自分の家族、特に前妻との間にできた4人の子のうち会場で見守っていた2人の息子と長女イヴァンカ氏がいかに素晴らしく自分をサポートしてくれているか、そして現夫人メラニア氏との間にいる10代の息子バロンくんの話もしたものの、「メラニア氏自身を賞賛するコメントはなかった」とニューヨークポストは報じた。 トランプ氏が罪状認否のために3日にニューヨークに到着してからここ数日間、メラニア氏の姿は確認されていない。この日の演説会場にも、その姿を見せなかった。 メラニア氏は妻としてファーストレディとしてこれまでトランプ氏を支え、昨年11月にトランプ氏が次期大統領選への立候補を表明した際もその場で見守っていた。だが夫が起こしたとされる元ポルノ女優らとの不倫疑惑とそれに関連した訴訟問題、そして今後さらに激しさを増すであろう24年の選挙戦について、妻としてどのような心持ちで受け止めているのだろうか。その心境は想像に難くない。 関連記事 Photo: 昨年11月、次期大統領選への立候補を表明したトランプ氏を見守るメラニア夫人。 Photo: 出廷したトランプ氏。 Photo: 2021年10月、ニュージャージー州のイベントに姿を現した元ポルノ女優、ストーミー・ダニエルズ氏。 Text by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース 個人「ニューヨーク直行便」(c) 安部かすみより一部転載)無断転載禁止

逮捕者135人の一部は釈放、 警官2人が自殺 ── 議事堂乱入事件、その後

すでに釈放された逮捕者も 1月6日にワシントンD.C.の連邦議会議事堂で起こった乱入事件から、3週間が経った。 デイリーニュースなど米主要メディアによると、これまでに400人の容疑者が特定され、大陪審の召喚状と捜査令状の発行は500を超えている。 実際の逮捕者は今のところ135人に上る。その中には、ナンシー・ペロシ下院議長(民主党)のパソコンを盗み、ロシア情報当局に売り渡そうと企て、政府所有物の窃盗罪などで逮捕されたライリー・ジューン・ウィリアムズ(Riley June Williams)容疑者(22歳)も含む。同容疑者は先週すでに釈放されており、現在は母親宅で監視下に置かれている。 詰めが「甘過ぎた」警備 あの日、大きな衝突が勃発する懸念はあったものの、議事堂警察(USCP)は連邦機関に警備の応援を事前に要請しておらず、結果的に乱入や暴動を許すことになってしまった。その警備態勢の不備や詰めの甘さが指摘され、スティーブン・サンド(Steven Sund)議会警察署長は、16日付で辞任した。 議事堂警察を代表する組合は27日、「指導する立場としての準備不足に怒りとショックを覚え、許しがたい」との声明を発表した。この日警備にあたっていた警官1200人に、事前に正しい情報伝達がされていなかっただけでなく、ヘルメットを配られずに頭部に外傷を負った警官もいたとある。 警官3人が死亡(1人は殉職、2人は自殺か) 事件後の悲劇は続いている。あの場で対応していた議事堂警察の中で、身体的もしくは精神的なトラウマなどの損傷を受けたのは140人近くいることがわかっており、その後の相次ぐ死亡も伝えられているのだ。 警官として15年以上のキャリアを持つハワード・リーベングッド(Howard Liebengood)警官(享年51歳)は、乱入事件のあった6日から3日後の9日に死亡したと、翌10日議事堂警察が発表した。 リーベングッド警官は2005年より議事堂警察に勤務し、上院の守衛部門に配属されていた。死因など詳細は明らかにされていないが、情報筋による証言をもとにした主要メディアの報道では「明らかに自殺」とされている。死亡した9日は、自身の非番の日だった。AP通信は、乱入事件が自殺の直接の原因かどうかは不明とした。 27日になり、別の警官の自殺も伝えられた。12年のキャリアのあるジェフリー・スミス(Jeffrey Smith)警官は、15日に死亡した。コロンビア特別区首都警察(MPD、通称DC警察)のロバート・コンティー(Robert Contee)署長代理は、「事件の余波」が自殺に繋がったとする見方を示した。 自殺ではなく、群衆によって「殺された」警官もいる。事件の翌日、議事堂警察のブライアン・シックニック(Brian D. Sicknick)警官(享年42歳)は、襲撃によって亡くなった5人のうちの1人として、報じられた。 2008年から議事堂警察に所属していたシックニック警官は、同署の緊急出動部署に配属されていた。事件日は暴徒化した人々との衝突時に消火器で殴打されるなどで負傷し、いったん自身の部署がある部屋に戻ったものの、そこで倒れて病院に搬送され、翌日夜に死亡が確認された。シックニック警官の死に関しては、誰も逮捕、起訴されていない。 関連記事 トランプ支持者は、厳重なハズの議事堂を「なぜこれほど簡単に」襲撃できたのか? ── 現地で深まる謎 今年最初の「悪夢」… 怒りのトランプ支持者が議事堂を占拠しカオス状態に (Text and photo by Kasumi Abe  Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

乱入防止の鉄線の外側で起こっていたこと ── 米大統領就任式【現地ルポ】

アメリカでは20日、新大統領のジョー・バイデン氏、新副大統領のカマラ・ハリス氏の就任式が無事に執り行われた。 今年は新型コロナウィルス感染拡大に伴い、規模が縮小され、式典はバーチャル形式で配信された。筆者も直前まで自宅で見届けようかと思っていたが、この歴史的な日の現地の様子を自分の目で見たいと急に思い立ち、1週間前にアムトラックのチケットを購入した。すでに売り切れ間近で、唯一購入できたのは午前3時25分ニューヨーク発の便だ。 列車は感染防止で空いていた。それでもカメラマンやユーチューバーらしき若者が何人か乗っていた。ばったり車内で会い「ノープランだよ。現地に行って決めようかと思って」と話している。そのうち、チケットを見に車掌がやって来て「オーマイガ〜ッ。店も開いてないのに、みんなD.C.に行くなんて。グッドラック!」と声をかけた。 早朝7時に首都ワシントンD.C.に到着。外はまだ薄暗い。いるのは警察犬を連れた警官と州兵、そしてジョギング姿の人が何人か。 6日に起こった過激派による議事堂乱入事件後、就任式のために州兵2万5000人が派遣された。出発前、友人は「ニュースでは危ないから近寄るなと言っているぞ。それでも行くのかい?十分気をつけて」と心配した。 確かに現地は戦場かと思うほど、ライフルを担いだ州兵がごまんと配備され、警官、爆薬探知犬、私服警官もたくさんいたが、逆に「安心感」に繋がった。有刺鉄線付きフェンスが張り巡らされ「議事堂には絶対に侵入できない」「何事も起こりえない」システムになっていたからだ。重装備の兵士の多くは鉄線の「内側」に1メートル間隔で立っている。彼らに緊迫した様子はなく、散歩中の人と笑い合ったりする姿も見かけた。すれ違いざまに目が合うと「おはよう」と向こうから筆者に声をかけてくれた兵士もいた。そこに立たされているだけの有り余る兵士を見て、「もう2度と暴動なんて起こすなよ」という強いメッセージ性を帯びた見せしめのように感じた。 正午:新大統領誕生 そうこうしていたら、就任式イベントの時間が迫り、柵の外側にも人がかなり増えてきた。 正午という時間をもって、正式に新大統領が誕生する。バイデン支持者も多く集まっていたから誕生と共にカウントダウンや拍手でも起こるのかと思いきや、所々で歓声は上がっていたものの、正午の時点で特に何もなかった。バイデン派、トランプ派、そのほか宗教団体が、それぞれお互いの主張を時に激しく遣り合っていた。 この日は6日のような過激派の姿はなく、キリスト教の保守的勢力(宗教右派)と呼ばれる人々の抗議活動が目立った。 このような一幕もあった。「トランプは間違った方向にリードしてきたと思う」と、バイデン支持者の女性がメディアのインタビューに応えていたら、通行人の年配の女性から突然ヤジが飛んできた。「ほらね、こういうことなのよ。このような振る舞いをしていいなんて、憲法でも(議事堂を指差しながら)あそこでも指導されていない。今の人が間違った方向の良い例ね」。 ジェシカファミリーは、DACA(ダーカ:不法移民の子に対して、強制退去処分を猶予する移民政策)を強く支持しており、「新政権にはICE(移民税関捜査局)を廃止してほしい」と期待を膨らませる。 「アメリカの危険な歴史の始まり」と危惧するのは、メガホンを抱えたニック・キメラ・ジュニアさん。ニューヨーク州ロングアイランドからやって来た。ただし彼はトランプ派でもバイデン派でもないと言い、「クライスト(キリスト教教派)だ」と胸元のバッジを指しながら自らをそう表現した。「数えきれないほどの胎児が中絶により犠牲になってきたが、新政権は中絶を支援する方向だ。また警察による残虐行為など、国が荒れていることも心配している」。 「同意できないからといって、お互い憎しみ合うのはやめよう」 この日の就任式では、ハリス副大統領、ミシェル・オバマ元米大統領夫人、ヒラリー・クリントン元国務長官の3人が、紫の衣装で臨んだことが注目を集めた。共和党のシンボルカラー(赤)と、民主党のカラー(青)を混ぜると紫になることから「融和」や「結束」の象徴なのだ。 しかしこの日、筆者が柵の外で目にしたものは、相手の意見を暴言などで遮る、互いの主張を一歩も譲らない人々だった。 また現場には、報道陣やユーチューバーらしき人々も非常に多かったのだが、ちょっとしたいざこざが起こったり過激な主張や行動をする人たちばかりが注目を集めていた。 そんな中、筆者はほとんど誰からの視線も浴びることなくひっそりと隅に置かれていたこのメッセージに注目した。 Stop Hating Each Other Because You Disagree (同意できないからといってお互い憎しみ合うのはやめよう) by TruthConductor. tv 心機一転、新たな4年が始まろうとしている。今まさに、このような姿勢こそがこの国に一番必要なのではないだろうか。 【この後ビデオも載せる予定】 関連記事 異例ずくめの「大統領就任式」もうすぐ(日本での視聴方法、スケジュール、豆知識) 「新たな時代の到来だ」バイデン勝利に祝賀ムードのNY 星条旗なびかせ喜ぶ人々 写真で振り返る決戦の投票日!「誰に投票した?」NYの人々に聞いてみたら・・・ (Text and photo by Kasumi Abe  Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

跡形もなくなったトランプ氏ツイッター。暴動扇動で永久凍結に

トランプ氏のツイッター、永久凍結 連邦議会議事堂で6日に起こった暴動を扇動したとして、ツイッターアカウントから「永久追放」されてしまったトランプ大統領。 暴動直後は以下のように、プロフィールは見える状態だったが、現在「跡形も無く」全削除されている(写真上)。 一掃された今でも @realDonaldTrump アカウントがかろうじて残されているのは、第三者によってこの世界一有名とも言えるアカウントが悪用(再利用)されるのを防ぐためだろう。 筆者の記憶では、多い時で8880万人以上ものフォロワーがいたトランプ氏のツイッター。8000万人が投票したとされる次期大統領のバイデン氏でさえフォロワー数は2370万人であるのと比べても、トランプ氏の発信力、拡散力、そして(中には虚言と見られる情報の)影響力が、ツイッター上でいかに群を抜いていたかがわかる。 永久停止措置の理由として、米ツイッター社は以下のように声明を出した。 メインアカウントが永久停止となった後、トランプ氏は米政府所有の @POTUS アカウントから、自身の言論の自由について反撃ツイートを続けたが、それらのツイートもツイッター社によって即削除された。 @POTUS アカウントからのツイートの削除について、ツイッター社がどのような手順を踏んだかは不明だ。 ツイッター社はまた、Qアノンの陰謀説関連の7万以上のアカウントも削除した。 ビッグテックが相次ぎ、トランプ氏の利用停止 or 制限つきに トランプ氏のアカウントを停止もしくは制限つき措置にしているビッグテック14社はこちら。 米フェイスブックもトランプ氏に対して同様に使用停止措置を取っているが、6日の午後までの投稿は見られるようになっている。 しかし大統領就任式を20日に控え、フェイスブック社は11日、不正選挙に対しての合言葉「Stop the Steal」(票を盗むのを止めろ)関連の投稿を、一般投稿も含めて全面排除していくと発表した。 (Text by Kasumi Abe  Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止