Category: Stories
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2022年のサンクスギビング 感謝の心で過ごす
2022年の感謝祭 幼馴染がNYへ 毎年この時期は自分の人生で大切な人への感謝(Gratitude)と、自分も誰かに与える(Giving)ことの大切さを考えさせられる。 今年は地元の幼馴染Kがニューヨークにやって来た。感謝祭当日の予定を考えていたら、ありがたいことに今年もホームパーティーに呼んでくださるファミリーがいて、幼馴染もどうぞと言ってくださったので、お言葉に甘えて参加させていただいた。 まず午前中は、NY名物バルーンパレードへ。 驚くなかれ、実は私、NY在住20年で初のメイシーズパレードでした!これまで感謝祭の日は他州やロングアイランドで過ごすことが多く、あまり市内にいなかったのと、市内のパーティーに呼ばれてもなぜかバルーンパレードにご縁がなく。(基本的にこの手のパレードは観光客が多く、地元の人はそれほど行っていない) でも実際に見てみると、期待値が低かったからか?これが結構良かったのです。 まず通常のパレードと違い、上空を浮かんでいるので、遠くからも見ることができるのと、見る角度によって違って見える。やはりなんでも実際に見てみるものだなと思いました。 午後からは、ミッドタウンにお住いのご家族のホームパーティーへ。美味しいお料理をたくさん出していただいた。来ているゲストもさまざまな職種の人で、とても楽しくついつい長居をさせてもらいました。。。 私たちはスイーツやドリンク類を持参したのですが、スイーツはせっかくなので幼馴染Kに博多のお菓子をよろしくとお願いしておいた。予感は的中し、みんなに気に入ってもらって良かった(特に通りもん)。 実はこの前日、幼馴染Kが誘ってくれて、ブロードウェイを久しぶりに観劇することがあった。 幼馴染Kがニューヨークに来た一番の目的は「K-Pop」ブロードウェイショー。演者の一人、ケビン・ウーの大ファンのK。私にも見て欲しいと200ドル近くするチケットをなんとプレゼントしてくれたのだ。 お誘いがなかったら観なかったであろうショー。これが実際に観ると、このショーもとても良かったです。歌、踊り、ストーリー展開、演出とエンタメの完成度がさすが高く、演者との距離も近くて迫力あり。 幼馴染Kは、6歳の頃から知っている貴重な友人(アメリカは引っ越しが多いからこの話をするととても驚かれる)。お母さんごっこしていたシーンやセリフ、セーラー服姿だったKもはっきり記憶にあり笑 別の大学に行った以外は、小中高とずっと同じ仲。今でも一時帰国のたびに、高校時代の同級生を集めてくれ、飲み会を開いてくれる。幼馴染Kにもこのショーのみならず、いつも色々与えてもらっている。 彼女はケビン・ウーにGivingだけをしているわけでなく、ケビンからもエネルギーをらっているから自分だけが与えている感覚はないとのこと。なるほど。 良い話ばかりではなく。 実は感謝祭の前日、朝起きたら日本の元同僚から、会社の先輩だった男性が亡くなったことを知らされた。この先輩はいつも笑顔で、集まりごとが好きで、私が一時帰国するときもその度に飲み会に来てくれていた。しかし今春はコロナもあって、会えていなかった。それだけが悔やまれる。 57歳の若さでの突然死。まだまだ働き盛りの年齢でした。つい1ヶ月前に呑んだ人の話ではとても元気でイキイキと働く様子を話していたという。まだこれからも一緒に集まりたい人だった。 生前いただいた綺麗なブローチを見るたびに思い出す、日本から来たばかりの私にとても親切にしてくれたアメリカのおばあちゃん。友人の家族。日本の近所のおばあちゃん。そして先輩。 人生の各ページで出会った人とのご縁を大切に、会える時に会っておかないとね。自分が周りの大切な人にいかに恵みや愛を無償で与えられているかに感謝しないとね。それは決して「当たり前」ではないから。感謝の気持ちはテキストとかではなくできるだけ言葉で伝えるようにしている。 そして与えられるだけではなく、自分も与える人間でありたい。何かを必要とする人に、無理をせず自分ができる範囲でGivingする。見返りは求めないしどうでも良い(ただしビジネスで「利用される」のとは違います)。そんなことを考えた今年のThanksgiving(サンクスギビング)でした。 Text and photos by Kasumi Abe
騙された感が半端ない!米インフレで企業の苦肉の策「スキンプフレーション」 ── 日本も他人事ではない
筆者がたまにランチなどで購入する、お気に入りのインドカレーがある。 トロッとしたバターチキンカレーと独特の風味があるバスマティライスがセットになったパッケージ商品だ。物価高が続く中、だいたいどこのスーパーマーケットでも9ドル(約1260円)以下と当地ではお手頃価格で売られていて、味も良い。 しかし最近それを食べようとして「あれ?」と思ったことがあった。これまでカレーの具は柔らかいチキンの胸肉だったが、いつものチキンは入っておらず「チキンのすり身団子」にすり替わっていた。 パッケージを確認するとやっぱり「チキン」と書かれてあるが、改行後に「ミートボール」という文字があるのに初めて気づいた。パッと見のデザインが同じなので、これまで同様、カットされた肉塊の具だと思って購入する消費者も多いことだろう。 また別の日、ミッドタウンの中華料理店に食事に行った時のこと。 我々がオーダーしたクルーシャン(フナ)の煮付け料理(21.95ドル=約3000円)はメニュー表によると、付け合わせにネギが入っているということだった。しかし運ばれてきた魚料理には、約3cmにカットされたネギが気持ち程度に数切れ入っているだけで、代わりに砂糖で味付けされた甘いタレがたっぷりとかかっていた。 飲み物のジャスミン茶も、明らかにジャスミン茶とは言えるものではなかった。間違ってオーダーが通ったのではないかと店員に確認したが、やはりジャスミン茶で間違いないという。食事の雰囲気が台無しになるためそれ以上は追及しなかったが、明らかに質の悪い烏龍茶のような味がした。 これらは、典型的なスキンプフレーション(Skimpflation)の一例だろう。 「ケチる」からきた新たな造語、スキンプフレーション インフレになって、「ポテトチップスの大袋を開けると中身が少なくなっていた」「1枚の大きさが以前より小さい」「歯磨き粉を買ったら、箱の大きさは同じだがチューブが明らかに小さくなっている」などの声がよく聞こえる。商品価格をほぼ変えずに内容量を減らすこれらの動きが、Shrink(縮める)をもじったシュリンクフレーション(Shrinkflation)と呼ばれて久しい。 同様にスキンプフレーション(Skimpflation)も、記録的なインフレが進むアメリカで最近、頻繁に聞こえるようになってきた。 スキンプフレーションのSkimp(スキンプ)は、時間やお金、材料を必要以上に費やさない(つまりケチる)という意味。Flation(フレーション)は文字通りインフレのことで、この2つをもじった新たな造語がスキンプフレーションだ。 具体的には、企業がこれまでとほぼ同じ価格帯を保ちながら、商品の製造コストを削減するために、より安価な原材料を使用し製品化することを指す。例えば、ある食品企業は食品の原材料としてこれまで本物のアーモンドを使っていたのにいつの間にか「アーモンド風味」に置き換えたり、バターの代替商品の原材料である植物油の含有率が以前は60%超えだったのが40%以下に減少したりしているのが報告されている。 チキンが「チキンのすり身」にいつの間にか置き換わっている件のチキンカレーも、飲食店でオーダーしたものがメニュー表の説明と「微妙に」異なったり、客の期待に応えるほどの質を満たしていないものだったりするのも、スキンプフレーションと言えるだろう。消費者からすると一抹の「騙された」感がよぎるものである。 日本経済新聞の14日付の記事には、「インフレならぬ『ケチフレ』である」と書かれている。記事によると、スキンプフレーションにはサービスの削減も含まれるといい、「小売りなら販売時の説明を省く、ホテルなら送迎や清掃の頻度を減らす」も、スキンプフレーションの1つという。さらに「米国が震源のスキンプフレーションだが、実はコロナ後の日本でこそ大きく広がる余地がある」ということだ。 最近、日本の大手コンビニのサンドイッチの具が少ないとネット上で話題になっていたが、以前からも言われているような弁当の底上げも含め「見た目はボリュームがあるのに実際の中身が少ない問題」も、シュリンクフレーションやスキンプフレーションの一端と言えるだろう。 スキンプフレーションが我々の食生活に与える影響 前述の中華料理店の3000円の魚の話に戻ると、甘いソースがたっぷりかかっていることで、どのような質の食材でも「美味しく感じさせ満足させる」のは明らかだ。しかし砂糖たっぷりの味付けが、健康に良いはずはない。 医療系の米非営利団体、ヘンリー・フォード・ヘルスは9日、スキンプフレーションが我々の食生活に与える影響について発表している。 この記事でも、「風味を加えるためのもっとも簡単で安価な方法は、塩分と糖分を加えること」とある。よって「食品企業が高騰した原材料を使用する代わりに塩や砂糖を追加投入して味を調整するのは、驚くことではない」と同団体の登録栄養士、アレグラ・ピカノ氏は述べている。 「消費者は原材料の配合の変化に気づかず、これまでと同じ食品を買い続けるかもしれないが、栄養価や健康面では良いとは言えない」。 その上で「質の良い製品に辿り着く方法」として、記事はこのように紹介している。 1. 栄養成分表示を確認する(日常的に購入してきた商品でも) 成分表のトップに書かれているものはメインの原材料なので、「ポテトスープ」の場合は最初に「水」と書かれているが、その後に書かれている素材、ポテトの「質」なども確認すること。パッケージに大きく「マルチグレインのパン」と書かれている商品でも、成分表の最初に書かれているのが「無漂白の強化小麦粉」だとしたら、穀物から栄養素を取り除いて再び加えたものなので、栄養素の含有量が減ったことを意味する。 2. ナチュラルフレーバーは必ずしも「自然」とは限らない ナチュラルフレーバーとは、本物の原材料を使う代わりにそのような香りを使用したものを指す。例えばタンパク質が豊富なアーモンドの代わりに、アーモンドから抽出されたアーモンドフレーバーなど。ストロベリーキャンディーと呼ばれる商品にストロベリーフレーバーが含まれていても、本物の苺が原材料に含まれているとは限らない。ナチュラルフレーバーには栄養価はない。栄養成分表示を確認すること。 3. 低ナトリウムの商品を選ぶ スープなど多くの包装済み食品はナトリウムが多く含まれるので、無塩または低ナトリウムの商品を選ぶ。手作りが良いのは論を俟たない。低ナトリウムのブロス(出汁)にたっぷりの野菜、肉、ハーブなどを入れて作るのが良い。 4. 小腹が空いたらホールフードスナックを選ぶ シリアル、クラッカー、ポテトチップス、クッキーの代わりに、アーモンド、クルミ、ヒマワリの種、リンゴ、アボカド、セロリ、ニンジンなどのホールフードスナックを選ぶ。. 5. 栄養成分表示で、砂糖(糖分)の量を確認 自然由来の糖質はヨーグルトや牛乳にすでに含まれているものだが、多くのケースで我々の健康に害を及ぼすのは追加された砂糖(糖分)であるため、栄養成分表示を確認する。 また記事では、「冷凍や缶詰の野菜や、冷凍の果物は生鮮食品より長持ちし、価格も低い」「キノア、玄米、豆、レンズ豆は良質のタンパク質であり、価格も(アメリカでは)比較的安価の傾向がある」などとし、これらの食材をうまく使い分けることもインフレを乗り切る方法の1つとして紹介した。 物価高騰の折、不健康な食習慣にならぬよう、また騙されたという気にならぬよう、消費者側も知識を持ってより賢く商品や店を選んでいく必要があるだろう。 関連記事 Text by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止
「独身おじさん友達いない問題」 アメリカの場合は?
日本では少し前、中年男性について書いた記事が話題になっていた。 また最近になって、独身女性という別の視点で書かれた記事も目にした。 筆者はどちらも興味深く読んだ。アメリカでもたまにこの手の話が聞こえてくるからだ。 筆者の耳に入る限り、友だちに関しては「中年」や「独身」に限った問題というより、あらゆる年齢層やステータスで共通する悩みなのかもしれない。(もちろん人によるが) アメリカではあらゆる層の悩み? 例えばつい数週間前、あるパーティーで出会った20代前半の日本人女性が、会話の流れで「アメリカ人の友人ができにくい」という悩みを筆者に漏らしたことがある。 渡米して1、2年足らずの彼女。大学生で英語はうまい方だと思うが、「友人になるのは、特に女子は難しいですね。なかなか仲間に入れてもらえないです」と愚痴った。 「向こうから擦り寄って来るまで待つのがいいかも?」。アメリカで多感な時期〜大学時代を過ごしていない筆者は、これ以上の的確な助言が浮かばなかったが、異性の友人はできやすくても、同性となると話が異なるから、彼女の言わんとしている状況はなんとなく想像ができた。 「友人作り」の難しさ。学生時代もそうなのかもしれない。しかしそれ以上に、アメリカでは成人以降、社会人になってからが顕著だと感じる。 既婚者は家族が最優先 アメリカ社会では独身であっても、慣習的に職場の同僚と頻繁に飲みに行ったり、休日まで会って出かけたりなんてことは比較的少ない。結婚すると誰もが家族との時間を最優先するので、家族ぐるみの付き合いは続いても、平日の夜や週末に友人と飲み明かしたり、旅行に行ったりすることは激減する。 独身や離婚経験者で友人がいない場合は?つい先日、とある会合の立食パーティーで立ち話になったある中年男性が、まさにそのようなケースだった。彼はその会合の会員になった理由として「時間があるから」とし、頻繁に会員イベントに参加しているそうだ。離婚をした後は独身貴族を満喫中のようで、イベントは基本的に1人で参加するという。バーに好きなお酒を飲みに行くのも、セントラルパークに散歩に行くのも1人だと言った。恥ずかしげに告白っていう感じでもなく、さらっと「おひとりさまを楽しんでいる日常」を明かしてくれた。 フレンドリーなアメリカ人。でも生涯の友情となると…… 当地に長年住んでいる筆者の所感だが、一般的にアメリカ人はフレンドリーで、知らない人ともすぐに打ち解けて心を開き、会ってすぐでも身の上話や家族の話をしたりする。だからといって友人が無数にいるかといえばそうでもなく、どっぷり浸かる友情や一生ものの友となると、数はかなり限られるようだ。 (一方日本人は、知らない人とはあまり話さないが、一度心を開いて友情を築けば、深く長い付き合いを続ける傾向があるのではないだろうか) そもそもアメリカ人が長い友情を持続しにくい理由の1つに、引越しが多い国民性が関係しているというのは、昔からよく言われていることだ。彼らは他の街や州外へ頻繁に引越すものだから、せっかく友だちになっても友情が持続しにくいというわけだ。ただこの問題もここ15年ほど、フェイスブックの台頭により(オンライン上に限って)解決されつつあるが。 アメリカ人の友人作りの難しさについて書かれたある記事が興味深かった。2000人を対象にした統計で、一般的なアメリカ人の友人・知人の数が書かれている。 多くの人は前職の同僚、学生時代の友人、近所の幼馴染みと今も親密な関係を継続させている。 一方、新たな友人作りの難しさも浮き彫りになっている。 新しい友人を作ることについて、成人の45%が「難しい」と答えた。また直近5年間、新しい友だちは1人もできていない。その理由として、内向的で恥ずかしがり屋という性格が関係している。この国ではそのような性格は短所と見られるが、友人作りとなると、自分の殻を破るだけでなく、サークルやコミュニティに自ら入っていく自信や勇気が求められる。このハードルの高さが新たな突破口を破るネックになっているようだ。 また友人作りの障壁はほかにも、「社交の場であるバー文化(飲み会)への嫌悪」「仲良しグループがすでに存在し新参者が入りづらい」「家族が優先」「出会いの可能性のある趣味がない」などが挙げられた。 さらに、せっかく友人になっても関係を持続させるのも難しい。 その理由は、「別の街への引越し」「成長するにつれて(なんとなく)」「多忙」「秘密についての裏切り行為、ゴシップ好き」「困難な時にサポートしてくれなかった」などだ。 中年以降の友人観 今月7日付の地元紙は、中年以降の交友関係の実情について報じた。 市場調査会社のOnePollが、55歳以上の2000人を対象に行った調査によると、37%が1人行動は孤独に繋がりかねないと認め、20%が実際に週の半分以上を孤独に感じている。そして、4分の3の人が、年齢を重ねるにつれて社交の輪が小さくなっていると感じ、48%が過去2年間で3人の友人と関係を解消したと回答した。 一方、年齢が上がるにつれ、52%が「友人と過ごすことに集中したい」と考え、40%が「旅行をしたい」とした。83%は新しい交友関係について楽観的に考え、何歳になろうと充実した関係を築くのに遅すぎることはないと答えた。 筆者が考える「アメリカの友達いないおじさん」への助言 – 教会に通う – ボランティア活動に参加 – 釣りやダンスなど1人でできる趣味から始める – 犬を飼う(外出する理由ができ、散歩中やドッグパークで知り合いが増える) – バーでは近くの人に1杯ご馳走する – ご近所さんと波風を立てず散歩の時にいつもニコニコしておく(アメリカではホームパーティーは隣人も招くため、いずれ招待されるかも) – もしくは、本文中に出てきた男性のように徹底的におひとりさまを楽しむ 新たな友人を作ることに興味があると答えた70%は、友人になるのは「好きなことに共通点がある人」「人生経験が似ている人」で、共にアクティブに行動することを望んでいる。64%が一緒にする人がいればウォーキング、ハイキング、スポーツ、クラス受講などもっとアクティブに活動すると答え、46%がアクティブに活動するうちに新しい友人ができたとした。 アメリカ人は家族最優先だと前述したが、つまるところ人生の後半以降は友人の存在の意義を再確認するということなのか。 そしてこの記事でも「『良い友人を見つけるのは難しく、友情を維持させるのはさらに難しい』ことがこの調査からわかった」とある。年齢に拘らず、良い友人と交友関係の持続は努力なしでは叶わないというのは、世界共通のテーマのようだ。 Text by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止
米同時多発テロから21年。ニューヨークに住む人々にとって9.11はどんな日だったのか
アメリカで同時多発テロ(9/11)が発生し、今年で21年目となる。2001年に生まれた人は21歳となり、テロ発生後生まれの人口も増えている。 年数が経過しても、今だこのテロ事件は尾を引いている。 21年目の主な動き: 9.11それぞれの記憶 ニューヨークに暮らす人々は、あの日どんな体験をし、何を感じたのか?21年目の9月11日に寄せて、今年もあの日を振り返ってもらった。 人生最悪の日を救ったヒーローたちと希望のトラック モニカ・グリックさん(61歳、カトリック教布教組織 勤務 3歳だった末娘は今年24歳。あれから21年も経ったけど、あの日のことは今でもはっきり覚えています。 目を閉じると、すべての出来事がまるで昨日のことのように脳裏に浮かびます。助けに来てくれた息子の表情や髪型、ラップトップを抱えた煤(すす)のついた男性、南部訛りの警官……。 2001年9月11日、あれは火曜日の朝でした。 8時55分ごろ、いつものように最寄りの駅に到着し、勤務先に向かっていました。 まず思い出すのは、駅に着いて見上げた空です。「わ〜、今朝の空はなんて青いの」と思いました。それほどあの日は雲一つない素晴らしい晴天でした。 当時、オフィスはマンハッタン区35丁目と五番街、ちょうどエンパイアステートビルから1ブロック北にありました。ブロンクス区の自宅からバスと地下鉄を乗り継ぎ1時間半ほどの場所です。 オフィスに近づくと、消防車のサイレンがけたたましく鳴っているのに気づきました。あちこちでサイレンが鳴り響くなんてニューヨークでは至って日常風景だけど、この日のサイレンはなんだかいつもより賑やかでした。後から考えると、ちょうど1機目が北棟に突入した直後だったのでしょう。人々は立ち尽くしたまま、一様にダウンタウンの方角を見つめていました。そこには、晴天に黒く巨大な煙の柱が立ち込めていました。 私は今でもこう思ったのを覚えています。「仕事に向かう時間よ。皆、なんで同じ方向を見ているのよ?」と。私はこの地で生まれ育ち、今の今までここで生きてきた生粋のニューヨーカーです。21年前だからあの時は40歳。この街で事故は日常茶飯事だから、またどこかで火災でも起きたのでは、くらいの受け止めでした。 私が働くカトリック教布教組織のオフィスではその日、大規模な理事会の会合が予定され、他州から多くの来客を迎える予定でした。ロビーに着くと係員が先ほどの騒動について「心臓発作か何かによる事故でしょうね」と言っていました。 飛行機のビル衝突事故と言えば、その昔、小型機がエンパイアステートビルに突っ込んだ事故*があまりにも有名です。この事故も、操縦士が発作か何かで操縦できなくなったんだろうと、当時誰もが思っていました。 補足 会合前にミサが予定されていて、事故に遭った被害者のためにお祈りを捧げようということになりました。しかしその後、取締役の秘書がやって来て「今度は別の飛行機がほかの建物に衝突しました。これはただの事故ではありません」と言いました。1、2時間すると警察がやって来て「今すぐ避難せよ」と避難勧告が出たため、私たちはビルの外に避難しました。 予想だにしないことが次々に起こり、一体全体何が起こっているのか誰も理解が追いついていませんでした。当時、通話用の携帯電話は持っていましたが、スマホなんてない時代*です。 補足 結局、全航空機に着陸命令があり空路は閉鎖されたのですが、事故直後はまだ無数の航空機が上空を飛んでいる状態だったので、「また別の飛行機が別のビルに追突するのでは?」「次に狙われるのはすぐ近くの(アイコン的な)エンパイアステートビルかもしれない」と恐怖で一杯でした。「とにかくこの場から避難しなければ!」と焦りました。 家族のことも気になりましたが、電話の通信障害*で夫とは電話がまったく繋がりませんでした。 補足 3歳だった末娘ハンナは夫と自宅にいて、テレビでアニメを観ている時間でしたが、何より夫の子、長男ジョシュが気がかりでした。当時24歳だった彼は(レストランや施設のインテリアに植物を取り入れ景観をデザインする)ランドスケーピング会社で働いていました。この日、ジョシュは同僚と軽トラックで、世界貿易センター(以下WTC)に向かっていたのです。でも彼はいつものように遅刻気味で事故直後に到着し、テロ事件に巻き込まれずに済んだのでした。 WTC周囲が閉鎖されたためジョシュは引き返し、途中で私のビルに寄ってくれ、同僚と一緒にここから救い出してくれたのです。公共交通機関はカオスで道路は人でごった返し、どうやって帰宅しようか途方に暮れていた中、目の前に突然現れた息子はまるで『ランボー』(アクション映画の主人公、ジョン・ランボー)のようでした! 軽トラの荷台は13、14人が立った状態で乗れるスペースがありました。造園道具や土やらで散らかっていましたが、そんなことは誰も気にしていられません。 息子が救いに来てくれた。しかしそれでも恐かったです。想像してみてください。あなたの近くで今、予想だにしない事件が連続で起こったとします。一体誰の仕業か、何のためか、単独犯によるものか共犯者がいるのか、次に何が起ころうとしているのか……電話も繋がらない(もちろんスマホもない)。そんな状況では、恐怖と不安しかありません。 大混乱の中、軽トラは北へ北へと進みます。交通渋滞でゆっくりとしか進みません。長く続く道中、私たちは軽トラから叫び続けました。 「誰か乗りたい人いませんか?」 「降りる人はいますか?」 ごった返す道の脇から見知らぬ人々が、次々に荷台へ飛び乗ります。これはエクアドルや中米で見た光景でした。 過酷な状況ですが人々は互いに笑顔を忘れません。全部で40人くらいが乗り降りしたかもしれません。トラックの中では国籍、人種、年齢、職業……あらゆる垣根を超え、人は皆平等でした。 このトラックにはさまざまなドラマがありました。ラップトップを抱え煤で汚れた男性は、コンピュータコンサルタントをしていて、最初に衝突があったビルから避難して来たと言っていました。アフリカ系の男性、確かナイジェリア出身だったと記憶していますが、彼は荷台に乗っても無言のままでした。ある地点に差し掛かったところで涙をボロボロ流し始め、こう言いました。「人々が次々にビルから飛び降りる姿を見てしまった」と……。 ある女性はトラックを降りるとき神に祈りながら私たちをハグし、ジョシュの軽トラを「Hope Truck(希望のトラック)」と名付けて去って行きました。 確かに息子らは我々のヒーローでした。息子だけではなく、あの日はたくさんの人がヒーローとして身を捧げました。 「希望」は続きます。 トラックがブロンクス区に差し掛かると、そこには小さな食料品店があり、避難する人々にミネラルウォーターやクッキーを配布していました。私はこの光景を目にした瞬間、途轍もないほど強いソリダリティ(連帯感)を感じ、胸がいっぱいになりました。誰もがこの困難に直面しながら、見知らぬ人同士が互いに助け合い、繋がっていました。 2年後に起こった大停電*、そして2020年の新型コロナ感染拡大とロックダウン……。この街は幾度もサバイブしてきたけれど、9.11同様に街が大混乱に陥った大停電の時でさえ、水や(歩きやすい)サンダルは有料で売られていたし、パンデミック中は人に寄り添うどころか一定の距離を保たなければなりませんでした。9.11ほどの助け合いや連帯感はありませんでした。 補足 9.11の日は、自宅に到着するまでいつもの2倍の時間、3時間半ほどかかりましたが、実感としてはそれ以上でした。自宅の椅子にへたり込むと、夫がグラスワインをそっと手渡してくれました。 自宅近辺から遥か遠くにローワーマンハッタン(テロ現場)が見えます。雲一つなかった真っ青な空は真っ黒になっていました。 テロから時間が経過するにつれ事件の真相が明らかになり、少し冷静になると今度は不安な気持ちが襲ってきました。親として子の未来について、成長していく彼らにとってどんな世の中になっていくのかとか、そういった危惧です。また、毎朝家族に挨拶して別れ、その後何が起こるかなんてわからない。それを教えてくれたのもこのテロでした。 私がオフィスに戻ったのは数日後です。私は自宅で仕事ができない性分で、コロナ禍でもオフィス勤務は欠かせません。この時も木曜日には職場に戻ったと思います。地下鉄は運行しておらず、シャトルバスで行ったでしょうか。とにかく「私の街だもの。負けるもんか!」という思いで向かいました。 街中が通常運転に戻るのにはしばらく時間がかかりました。テロ再発の恐れもありマンハッタンはゴーストタウンのようでしたが、エンパイアステートビルには巨大な星条旗が掲げられ、通りからは方言が聞こえてきました。若い警官が南部アクセントで「大丈夫でしたか?」と私に気遣ってくれたとき、緊張の糸が切れたのか、歩道に突っ立ったまま涙がポロポロ溢れ出し、止まらなくなりました。 テロで多くのファーストレスポンダー(消防隊員、救急隊員、警察官)を失ったニューヨークに、他州の人々が心を寄せ、我々と共に立ち上がり、救助や援助に駆けつけてくれたのです。瓦礫や粉塵まみれの中、現場周辺の教会だけはオープンし、救助隊に水や酸素吸入器を配布していました。世界中からも心配の声が届けられました。支援のエネルギーがひしひしと感じられ、本当に心強かったです。 テロ後、今とは違う「ニューノーマル」が生まれました。バスに乗ったら周りの人々の顔を互いに見て確かめ合うようになりました。セキュリティは強化され、ビルの入り口でIDを求められるようになり、空港では「このバッグは他人から手渡されたものですか?」などと質問されるようになりましたよね。 幸い、友人や家族で亡くなった人はいませんが、子どもから命を救われた近所の男性を知っています。あの日の朝、バスに乗ろうとした時その男性に会いました。彼はWTCで会議があるのに、直前に息子と言い争いになって出発が遅れたと非常に焦っていました。でもそれでテロに巻き込まれずに済んだのです。後日偶然再会し、この日の朝を思い出して、互いの無事を喜び合ったのでした。 犠牲者の中で、マイケル・ジャッジ神父*が倒壊現場から救助隊に運び出されるシーンはあまりにも有名です。彼は市消防局のチャプレン(神父)を務めており、犠牲者のために祈りを捧げるために現場に向かい、倒壊に巻き込まれて命を失いました。 補足 犠牲者は現場で亡くなった人だけではありません。化学物質で事件後に救出活動をした人や周辺の住民の多くもその後、呼吸器系や癌などの病気になり亡くなっています。 テロの翌年に生まれた私の孫は今年ハタチで、9.11を直接知りません。3歳だった末娘も記憶にありません。そんな若い世代に伝えたいこと。そうですね、あの日は最悪な1日だったけれど、私たちがベストピープル(最高、最強などの意)になった日でもあったということです。 それを成し遂げたのは「助け合い」です。名前も知らない人同士の間で、援助の輪がありました。それらが心の癒しに繋がったのは言うまでもありません。そして心に突き刺さったのは「希望」でした。…
中絶を禁じられた女性の立場で「見過ごせない理由」を考えてみた ── 白熱する「中絶論争」
6月に連邦最高裁判所が、半世紀にわたって人工妊娠中絶の権利を合憲だとしてきた「ロー対ウェイド判決」を覆す判断を示した。それ以降、中絶にまつわる議論が全米で日を追うごとにヒートアップしている。 中絶の規制は各州に委ねられ、州は独自の州法で中絶を禁止できるようになった。 過去記事 米最高裁「中絶禁止:ロー対ウェイド判決の覆し」なぜこれほど論争になっているか。米国人視点で考える 中絶が禁止の州はどこ? ロー対ウェイド判決を覆す最高裁の判決を受け、現在は少なくとも14州(妊娠6週以降の4州含む)で中絶が禁じられている。 今後数週間以内に、中絶を禁止する州はさらに増えると予想される。中絶を制限する法の施行を阻止するため、中絶擁護派(プロチョイス)によって多くの州で訴訟が起こっているものの、これまでの歴史を振り返ってみても、中絶反対派(プロライフ)の一部の過激派により、中絶クリニックの医師を襲って手術を阻止しようとした事件が起こった事例もあり、一部地域ではクリニックの閉鎖がすでに始まっている。 ニューヨークタイムズによる最新のインフォグラフィック そんな中、カンザス州では今月2日、大きな動きがあった(地図の真ん中のグレーの州)。州憲法から中絶権の保護を削除する是非を問う住民投票が行われたのだ。同州は歴史的に保守的で共和党支持者が多い。専門家は投票率について36%止まりになると予想し、住民投票で修正案が承認されるだろうと見ていた。 しかし蓋を開けてみれば、投票率は49%と半数近くで、中絶権を削除する法案を拒否したのは全体の59%にあたる54万票を超えた。削除を受け入れるとした41%(37万票超え)を18%も上回った結果に。つまり投票者の過半数が、中絶の権利がないとする州法修正案を拒否して合憲性を維持し、このような保守的な州でも中絶権についてさまざまな考えが存在することが明らかになった。(ニューヨークのような民主党寄りの州も然り) ニューヨークタイムズによると、例えば2020年の大統領選で81%と大多数の人がトランプ氏に投票した同州ハミルトン郡でさえ、今回の住民投票で反中絶の支持者は56%止まりということだ。 カンザスは、ロー対ウェイド判決の覆し以降、中絶の権利を巡る住民投票で擁護派が勝利した初の州となった。同様の住民投票は年内にケンタッキー州、カリフォルニア州、バーモント州でも予定されており、中絶権擁護派はカンザスでの結果が今後の指標になることを求めている。 中絶の権利がなぜこれほどの議論になっているのか、日本からはなかなか理解しづらい。2回目の今回は、中絶禁止州に住む擁護派の女性の立場から、なぜ中絶へのアクセスが禁止されると困ることになるのか考えてみる。 女性として、中絶へのアクセス権が譲れない理由 各研究機関により、以下のファクトが指摘されている。 アーバン・インスティテュートによれば 合法的な中絶へのアクセス:女性の経済的および社会的生活を改善する 中絶を拒否されること:女性と生まれてくる子に経済的困難と経済的不安をもたらす。健康と幸福に多くの悪影響を与える可能性がある コロラド大学の研究によれば 妊娠は安全な中絶よりもリスクが高く、もし全米で中絶が禁止されるようなことが起こるとなると、2年以内に妊娠関連の死亡者数が、少なくとも21%増加する可能性がある そもそも中絶手術を受ける理由として、予定外の妊娠や経済的困難、レイプ、DV、持病の悪化、子の重度の障害など、人それぞれだ。それぞれの事情により中絶が必要となった場合に、住む地域で、中絶へのアクセスが比較的しやすいかしにくいかは非常に重要だ。 住んでいる州で中絶手術へのアクセスが絶たれた場合の対策として、ディズニー、JPモルガン、メタ、アマゾン、スターバックス、テスラなど多くの大企業が、従業員が他州で中絶手術ができるよう、旅費を負担する方針を打ち出している。あなたは「それならば心配はない」と安堵するだろうか? 大企業で働いている人は、高所得者で恵まれた環境にあり、実際には皆が皆、そのような福利厚生がしっかりした大企業に勤めているわけではない。ガットマッハー研究所によると、そもそも中絶を受ける女性の75%が、貧困層か低所得者層であることがわかっている。そのような人々はきちんとした健康保険に加入しているケースは少ない。よって、中絶手術を受けるためだけに仕事を休んで、わざわざ他州に旅行ができるわけがない。 また、望まれた妊娠だとしても、突発的になにが起こるかわからない。中絶への自由なアクセスがない環境において、流産が避けられず母体の生命が危険に晒される事態になったとして、万が一中絶手術を受けられなければ「妊産婦死亡率は上昇するだろう」とメディアは警鐘を鳴らす。医師が起訴されることを恐れて「法的枠組み」を遵守し、中絶処置を拒否した結果、母体が命を落としたケースは、アメリカのみならず、伝統的にカトリック教徒が多い(人口の70%を占めるような)国々で後を絶たない。 繰り返しになるが、そのような不幸に見舞われるのは大企業で働いている女性ではない。主に影響を受けるのは、身近に中絶手術ができる医療機関のない場所に住む人、社会経済的に地位の低い人、そして思春期の若者だ。 【写真キャプ】ロー対ウェイド判決を覆す判決後、プロライフ派がクリニックの外に集まった。「生命は神の賜物。胎児を殺してはならない」がカトリックの「基本原則」とされている。 「私の体は、私が選ぶ」の本当の意味 中絶権擁護派(プロチョイス)と言っても、中絶を100%奨励しているわけではなく、そうならないように防止することが大切だとしている。その上で、中絶が必要となってしまった場合に、「誰もが自分自身のことは自分自身で選択するべき」というのが基本原則だ。 日本の母体保護法の定める「中絶は配偶者(夫やパートナー)の同意があってこそ」の概念は一切ない。まさに“My body, my choice”(自分の体は“自分”が選択)の本来の意味に則っている。 中絶にあたって配偶者の同意を法的に規定している国と地域は、日本、台湾、インドネシア、トルコ、サウジアラビア、シリア、イエメン、クウェート、モロッコ、アラブ首長国連邦、赤道ギニア共和国の11ヵ国と地域。資料 伝統的なカトリック教徒の国、アイルランドをはじめとし、ヨーロッパの国々でも中絶に対する規制が緩められているのが世界の潮流だ。一方アメリカでは(ロー対ウェイド判決が覆される前であっても)、中絶擁護派と反中絶派が政治と法律面で幾度も闘ってきた。まるで時代と逆行しているようにも見える。 ますます白熱する中絶議論は、11月の中間選挙の大きな争点となりそうだ。激しいインフレ、杜撰な移民対策、アフガニスタンからの米軍撤退などでバイデン大統領の支持率は31%とさらに低迷している。銃規制、税制改革、インフレ対策など選挙結果を大きく左右するであろう要素の中に、国民の間でヒートアップする中絶問題も選挙の争点となり、民主党は反転攻勢をしていくだろうか。 Text by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止
米エアビーで隠しカメラ騒動 … 海外旅行先のホテルや民泊で小型監視カメラ?盗撮への対処法
アメリカのAirbnb(エアビーアンドビー、以下エアビー)で、女性客が宿泊した室内に隠しカメラが仕掛けられていた疑惑が浮上し、SNSで騒動となった。 問題の投稿は今月12日にツイッター上で発信された。投稿者は、友人と宿泊したフィラデルフィア市のエアビーに隠しカメラがあったとして、写真やビデオと共にツイートした。 「バスルームや寝室のスプリンクラー(消火設備)などに10個以上のカメラレンズを発見した」「幸いにも同性の友人との旅行で性行為はなかったものの、それでも裸になり着替えることはあった」などと書き込み、注意喚起した。これに対して、6万1000のリツイートと約30万のいいねが付いた。 写真を見る: 室内スプリンクラーの一例。米東海岸は古いビルが多く、このように剥き出しで設置されていることもある。 しかしその後の地元警察の調べで、そのエアビーから隠しカメラや非公開の記録装置は見つからなかったとして、14日に公式に発表された。拡散されたツイートはその後、削除されている。 この盗撮騒動についてエアビー社は、宿泊者の気持ちを鑑み、宿泊費の払い戻しをすると発表した。また、同社ウェブサイトに掲載している宿泊施設に隠しカメラが設置されるケースは稀であるとの認識も発表。しかし、これまでも全米各地にあるエアビーでは、所有者が室内で隠し撮りし、その写真がネット上で投稿されたり、ホテルの従業員が室内で撮影したものを販売したりするなど、いくつもトラブルが報告されてきた。 2017年フロリダで、カップルがエアビーで見つけた賃貸アパートから隠しカメラを見つけたとして騒動に。このような例はいくつも報告されているが、中には訴訟問題に発展しているものもある。 米ホテルや民泊での監視カメラの設置ポリシーとは? 冒頭の騒動以降、複数の地元メディアが昨今の「隠しカメラ」事情を報じている。 盗難防止や財産保護のため、宿泊施設に監視カメラを設置すること自体、悪い訳ではない。「オフィスなどに最適」として、従業員の監視や盗難防止目的で、監視カメラ付きのスプリンクラーなどもあるほどだ。 FOXニュースやNPRなどが報じた監視カメラ設置にまつわる連邦法では、プライベートエリア、つまり裸になったり身にまとうものが少なかったりするような宿泊施設内において、個人の同意なしに記録することは犯罪とされている。また、細かい法律は州ごとに異なっているものの、ほとんどの州では防犯の目的で正面玄関や車庫前のドライブウェイなど、共有スペースにカメラを設置するのは許可されている。 防犯用監視カメラ設置ルール エアビー: 宿泊施設の共有&公共スペースでは、防犯用監視カメラや録画・録音機器、ホームモニタリングシステムの設置を許可している。しかし、宿泊施設の所有者は宿泊者に対して、滞在前にその情報を開示する必要がある。また寝室やバスルーム、横になるような室内において防犯カメラや記録装置を設置することを禁じている(リビングルームにソファベッドがあれば、監視カメラは設置不可)。 Vrbo(ヴァーボ): 宿泊施設の屋外のみ、カメラや監視デバイスの設置を許可している。ただし例外があり、リモートで操作できないスマートデバイスは市内に設置可。この場合も宿泊客に事前通知し、スイッチをオフにする選択肢を宿泊客に与える必要がある。 リモコンにも設置可能な小型カメラ 「以前宿泊したエアビーの室内には12台のカメラがあった」。このように自身の体験談をFOXのニュースサイトに寄稿した専門家などいくつかの声をまとめると、隠しカメラが設置される可能性のある場所として、以下のようなものがある。 通気口 照明器具 電源コンセント 加湿器 テレビのリモコン 目覚まし時計 煙探知器 USB充電器 シャワーヘッド ぬいぐるみ 観葉植物 本や本棚 鏡 ペン etc… 室内、ほぼすべてだ。 この専門家が見つけたカメラについては、実はエアビーの部屋情報の一番下に小さいフォントで開示されていたそうだ。「それ以降、予約時には注意深く情報を読むようにしている」という。そして「カメラは何台がどこに設置されているか、そのカメラは録画機能があるか、自分の宿泊後にその動画をどうするのか、逐一質問をするようにしている」。 さらにこのように述べている。「カメラ設置について開示があるかどうかにかかわらず、宿泊施設に到着時にすべての部屋をくまなくチェックするのは、あなたの責任です」。 別の人の投稿。エアビーにモーションディテクターがあるのは奇妙だと不審に思いチェックすると、オンラインで接続されたIPカメラが見つかったとのこと。 隠しカメラの見つけ方 サイバーセキュリティを教示する、自称元ハッカーのマーカス・ハッチンズ(Marcus Hutchins)氏がTikTokに投稿した「隠しカメラを見つける方法」は、3340万回以上再生され、500万を超えるいいねが付くなど話題だ。 デバイスがカメラか否かを確認する方法の1つとして、同氏は小型カメラが隠されていそうな場所に(そして、まさかこんな所にはないだろうと思うような場所でさえも)光を当てる「フラッシュテスト」を推奨している。カメラレンズであれば青みがかって反射されるという。隠しカメラのレンズは非常に小さく、壁や天井の穴や隙間、ピンホールの大きさでさえ取り付け可能なので、まず部屋の照明を消して暗くし、懐中電灯やレーザーポインターでゆっくりと部屋中を確認し、反射物を確認すると良いそうだ。 設置されているのは暗視カメラの可能性もある。その場合、人間の目には見えない特殊な赤外線を照射するLEDライトが付いているので、照明を消してぼんやりと光る赤い光がないかチェック。スマートフォンのカメラ画面で見ると、より見やすくなるという。 動画の中では、目覚まし時計の中に設置されたレンズも映し出されている。レンズはそれほど小さいものではないが一見わからない。これもいろんな角度から光を当てて探し出している。 上記のレンズ反射法に加えて念には念を入れ、隠しカメラやマイクを識別できるバグ検出器(bug detector)やRF検出器(RF detector)を使用したり、Wi-Fiルーター、目覚まし時計、USBプラグなど怪しいと思うものはすべてコンセントから抜くことを勧める専門家の意見も紹介されている。ほかにも、ワイヤレスネットワークウォッチャー(Wireless Network Watcher)などで、ネットワークに接続されているガジェットを表示する方法もあるそうだが、滞在先の所有者がガジェットを別のネットワークで繋いだり、有線で繋いだりしている可能性もあるため、この方法は万能とは言えない。 隠しカメラ、見つけたらどうする? 上記の記事では、違法な監視カメラを見つけたら警察に通報し、証拠となるものをビデオや写真で記録することを勧めている。通報を終えたら、レンタルサイトのカスタマーサポートに電話連絡するのも手。別の宿泊施設に変更してもらえるかもしれない。 これらの小型カメラは安価で普通にアマゾンなどで購入できるなど、誰でも簡単に手に入れることができる。以前なら人里離れた怪しいモーテルだけでの問題だったようなものが、現代のように民泊が一般化し、テクノロジーも格段に進歩すると、プライバシーを守る上ではなかなか厄介な問題として浮上することも多くなってきた。 自宅のトラブルで筆者が最近宿泊したニューヨーク市内のホテル(入り口のドアが完全に開かないほど狭い部屋だった)の天井には煙探知機が設置されていて、さぁ寝ようと電気を消した際、赤い光が点滅しているのに初めて気づき、怪訝に思ったことがある(ただの点滅だったと信じたい)。その後上記の記事を見つけた訳だが、今後はフラッシュテストなどを入念に行おうと思った。 世界中で新型コロナの感染状況が落ち着き水際対策も緩和される中、海外旅行に行く機会も今後増えていくことだろう。海外のホテルや民泊施設に宿泊の際は、このような事例もあることを頭の片隅にでも入れていてほしい。 過去記事…
