【米同時多発テロから25年】「また後でね」が息子との最後の会話に──9.11で息子を失った母の証言

9.11から25年|筆者は毎年この時期、同時多発テロ(9.11)を経験したニューヨーカーを取材しニューヨークより発信しています。


「また後でね」が息子との最後の会話に ── 9.11 息子を失った母の証言

アーリーンさんは一番左。娘のリン(Lynne)さんらと共に。2020年の追悼式で。© Kasumi Abe

ニュージャージーに住むアーリーン・ルッソ(Arlene Russo)さんは、息子のウェイン(Wayne Russo)さん(当時37歳)を911で失った。

ウェインさんは、北棟(1ワールドトレードセンター)98階にある大手保険会社マーシュ・アンド・マクレナンで、会計の仕事をしていた。

「息子はね会計という職業のわりに長髪にしてね、ロックがとても好きだったんですよ」

娘そして、息子の音楽仲間らと、この日現地を訪れたアーリーンさんは懐かしそうに、そして髪型の話をするときに少しだけ笑顔を見せた。

アーリーンさんの娘リン(Lynne)さんは、ウェインさんにとって1歳違いの妹にあたる。

「テロの前日9月10日は、10年前に他界した父の誕生日だったので、パーティーをしたんです。それが兄との最後の別れになりました」とリンさん。

アーリーンさんは当日の朝、ラジオで事件を知った。

「ツインタワーで事故と聞き、始めは小型の飛行機がビルにアクシデントでぶつかったくらいに思っていたのですが」

旅客機が北棟に突入し爆発、炎上したのは93~99階の7フロアだった。

「息子のフロアは北棟98階、ちょうど飛行機が突入した所でした」

「実はあの朝、私と夫は飛行機に搭乗予定で、ニューアーク国際空港にいました。同居していた息子はあの日も午前6時半ごろ家を出て、7時半には出社していました。私が息子に『飛行機が到着したらまた電話するね。またあとでね』『オッケー』というのが最後の会話です」

テロが発生し、自身の飛行機は欠航となった。ウェインさんに電話をかけたが、電話は繋がらなかった。

「汚い言葉を使うなんてことがない、心の綺麗な自慢の息子でした。今は(天国で)、夫といつも一緒にいると思います」

ヘッダーイメージ:© Kasumi Abe

Text and photos by Kasumi Abe 安部かすみ  本記事の無断転載禁止

【オリジナル記事はYahoo! Newsに掲載されました】

安部かすみによる「9.11同時多発テロのその後」を追った、ニューヨークの世界貿易センター跡地をめぐる遺族や生存者の証言をまとめた記事を読む ↓


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