NYのAudible Story House: 本のない最新書店 “音”で読む体験記【寄稿】

Amazonのオーディオブック・サービス、AudibleががニューヨークにAudible Story House(オーディブル・ストーリー・ハウス)をポップアップ形式&期間限定でオープンしている。

筆者はこれまで、当地でコロナ禍以降にリアル書店が再び好調であると何度かレポートしてきたが、ここは同社が“初”をうたう「本/書籍のない書店」(the first-ever bookless bookstore)だ。

行ってみると、フレンドリーなスタッフが迎えてくれ、店の説明をしてくれた。

1階には、紙の本ではなく正方形のストーリータイルが陳列されている。まるでレコード店や(ニューヨークに以前点在していた)CD店のようだ。

約300のストーリータイル(サンプル品)が、ロマンス、アクション、オーディブル・オリジナルなどジャンルごとに置かれている。そこから気になる作品を選び、リスニングステーションにセットしてヘッドフォンで聴くことで、物語の没入体験ができる。

A modern interior of a creative space featuring a listening booth where two individuals are engaged, surrounded by shelves displaying books and other media.
(c) Kasumi Abe

音響設備はDolby Atmos(ドルビーアトモス)、ヘッドフォンはSony(ソニー)製。

筆者が店内で最先端を感じたスポットはここ。おしゃれなバーのような、リスニングバー(Listening Bar)

ここではバーテンダーならぬストーリーテンダー(Story Tender)が一人ひとりの好みに合ったオーディオブックを見つける手助けをしてくれる。キュレーターによる提案は、新たな作品との出合いや発見へと導いてくれそうだ。
A cozy space labeled 'Story House' with shelves displaying various books, featuring a circular table with several people seated, engaged in conversation.
店の一部はバーやクラブのような雰囲気。(c) Kasumi Abe

ほかに、よりリラックスして没入体験ができるリスニングルーム、ドルビー・アトモス・ラウンジ(Dolby Atmos Lounge)もある。ここでは、受賞歴のあるオーディブル・オリジナル作品などのサウンド体験ができる。まるでダウンタウンのクラブのように照明が落とされており、「音」そのものに集中できるのだ。
A young man and woman sitting on a plush, dark-colored couch in a dimly lit room with abstract wall art.
クラブにあるようなジャイアント・ラウンジソファが置かれており、靴を脱いで音響体験をする。(c) Kasumi Abe

オーディブル・ストーリー・ハウスはリスニング体験の場のみならず、人々との交流を促進する社交的なコミュニティハブも目指しているようだ。

コンテンツクリエーターやナレーターなどを招いたトークショー、ブッククラブ、体験クラスなど各種イベントも催されている。

A panel discussion taking place at the Audible Story House, with speakers seated on stage and an audience attentively listening. The backdrop features the Audible Story House logo and decorative elements, including large speakers.
この日はナレーターを招いたトークイベントが行われた。(c) Kasumi Abe

カフェもあり、コーヒーはコンプリメンタリー(無料サービス)だ。

オーディオブックが実際にどのような層にもっとも需要があるかは、現場に来るまで具体的にイメージできていなかったが、今回訪れてみると(この日は平日の昼間だったこともあるのか)、20代から70代くらいまでの女性が大半だった。

スタッフにオーディブルの一般的なユーザーについて聞いてみると、「年齢層は幅広く、車や電車での移動中、あるいはジムでエクササイズをしながら聴く人も多い」とのことだった。話を聞いた30代くらいの女性は、いつも散歩や掃除をしながら利用しているそうだ。

店舗の入り口のドアは開放されており、店の内側で何かが“ハプニング”している雰囲気、軽いざわめきが外に漏れ出していた。スタッフの対応も含むフレンドリーな雰囲気に引かれるように、通りがかりの若い女性やカップルがふらりと立ち寄る様子も見られた。

Exterior view of the Audible Story House building featuring large glass windows with vibrant branding and an open door, inviting guests inside.
(c) Kasumi Abe

このオーディブル・ストーリー・ハウスは、現在ポップアップ形式で5月1日〜31日の期間限定で開催されている。おそらく同社による実験的な取り組みの一環だろう。

ドルビー・アトモス社のスタッフとの立ち話では、来月以降も何らかのイベントが予定されていることもうかがえた。これからもこのような没入型の体験を通じて、消費者に新たなコンテンツの楽しみ方を提示してくれる可能性は充分ありそうだ。今後の展開にも引き続き注目したい。

Audible Story House

INFO

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ヘッダーイメージ: (c) Kasumi Abe

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Text and photos by Kasumi Abe 安部かすみ (Yahoo!ニュース エキスパート「ニューヨーク直行便」(c) 安部かすみより一部転載、加筆) 本記事の無断転載禁止

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