アメリカで夢を追いかけるため20代の若者がNYにやって来た。あるスポーツ選手との出会い

先日、日本の20代のあるスポーツ選手(仮にA選手とする)がニューヨークにやって来た。これからアメリカで本格的にプレーしていきたいということで、挑戦のために渡米したのだが、彼との出会いは「アメリカでの挑戦」について再び考える機会となった。

A選手は好青年で、挨拶もちゃんとしていて、会った瞬間から好感が持てた。道中いろんな話をしながらの移動となったが、彼の口から何度か「怖い」という言葉が出てきたのが印象的だった。私からしたらアメリカ人にも負けていない体格で、怖がる必要は全然ないよと思うけど、よく考えるとそりゃそうだ。異国で言葉も通じないし、文化も全く違うしで、体格がどんなに恵まれていても、新しい環境での挑戦が「怖い」のは普通の感覚だ。私も24年前の渡米当初は恐怖の連続だったなと思い出した(もちろん楽しさもあったが)。

A選手曰く、日本で長年そのスポーツをしてきたが、だんだん楽しめなくなっている自分がいたという。しかし最近になってそのスポーツ絡みでアメリカに行くことがあり、そこでの時間が有意義で、自分がそのスポーツを始めた頃の感覚に戻ることができたという。アメリカで自分の力を試してみたいという気持ちが芽生え、親にその思いを伝えたら喜んでもらえ、アメリカで新たな挑戦に踏み出す後押しをしてもらえたそうだ。

A選手の話で、いろいろと考えさせられた。

(ここからはあくまでも私の推測だが)最初はワクワクで始めたものが、そのうち「仕事」になり、多くの人に注目されるようになり、周りからの期待も高まって重圧となり、当初の気軽さではできなくなったことが、楽しめなくなった要因かもしれない(日本で先輩からのいじめもあったと言っていた)。

気づいたら対象が大きくなったり、「勝たなければ」「成功せねば」と重くなり過ぎて行動が遮られることはある。

一方、アメリカの自由な風に吹かれながら、その重圧から解放され、成功への執着を手放することで、そのスポーツ本来の楽しさや子どもの頃の気持ちが蘇ったのかもしれない。

どちらにせよ基本的には心穏やかに日々を過ごし、かつワクワクすることを続けていたら、いつかある程度は成功すると思う。「失敗してもいいや〜」と諦めの境地ではないが、成功に固執せず、楽しんでアメリカで打ち込めば、体格に恵まれているA選手なら成功できる可能性は十分にある。

Sunrise view over an airport with multiple airplanes, including British Airways, parked on the tarmac against a colorful sky.
JFK空港のエアトレインから。遥か遠くにマンハッタンの摩天楼が見える。今の季節は午後7時頃が綺麗。© Kasumi Abe

どんな分野だってスランプはある。アメリカの執筆の世界には「ライターズブロック」という言葉がある。文筆家がある日書けなくなってしまう障害に見舞われる。原因はさまざまだが、完璧主義や失敗への恐怖なども関係する。スランプって実は執着から発生していることも多いんじゃないかと思う。何事も行き詰まったら、環境を変えたり思いっきり休むのが良い。そうして執着が解放されると信じられないくらいスランプ状態からスイスイと抜け出し、前よりも良い結果が出ることはある。

そういえば、私は2002年6月に留学でニューヨークにやって来たのだが、渡米1ヵ月で共通の友人の紹介で最初にできた友人が、あるスポーツ選手だった。友人は当時30代でアメリカである挑戦をしていた。また同じように、日本でプレーしていた時はいじめにあったとも話していた。その分野では40代でも活躍している人がいるとかで、30代の自分も挑戦したいと頑張っていた。結局その友人は思うような道に進むことができず、3年後に帰国した。

今回のA選手や当時30代の友人は一例で、ニューヨークには日々、あらゆる分野の挑戦で世界中から若者がやって来る。昨年は19歳のダンサー志望者がダンスを本格的に学びたいとしてニューヨークにやってきた。彼女は今ここでの生活を思いっきり楽しんでいる。

皆、いずれはアメリカで一旗あげたいとやって来る。ビザなどの関係で、数年経って帰国する人もいるのだが、ニューヨークでチャレンジした人は日本に帰っても何かしらの活躍をしている。

A選手は「年齢的にこれが最後の挑戦」と言っていた。私からするとまだまだたっぷり時間はあるような気がするが、本人は本人の事情がある。別れ際「これから冒険が始まるね!リラックスして楽しんでね」と声をかけた。人生一度きりだし、20代も長い人生からすると一瞬なので、悔いのないように思いっきりアメリカで夢に向かってほしい。

【P.S.】  移動中の会話で、私がPC(パソコン)の話をしたら、「PCって何ですか?」と聞かれた。PCって最近の若い人は言わないんですね!? 私の日本語は24年前で止まっているので(笑)

ヘッダーイメージ: © Kasumi Abe

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Text and photos by Kasumi Abe 安部かすみ 本記事の無断転載禁止

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