
セクシュアルハラスメント(セクハラ)に対して、ソーシャルメディア上で「私も」とタグをつけて声を上げる「#MeToo」運動が世界各地で起こって久しい。日本でも、ジャーナリストの伊藤詩織さんや人気ブロガーで作家のはあちゅうさんらが過去に受けたセクハラ被害を訴えている。
最初にこの運動が始まった本家・米国でのセクハラ・スキャンダルは、芸能界だけでなく料理界にも飛び火している。米国では知らない人はいないほどの著名料理人のマリオ・バターリやエリック・コーシュ、人気飲食店の共同経営者ケン・フレイドマンといった飲食業界の重鎮らによるセクハラ被害を明かす声が次々と上がっているのだ。
そんな中、日本でも事業を展開している飲食店予約サイトの「オープンテーブル」(サンフランシスコ)が、毎年3月に米テキサス州オースティンで開催される大規模なエンターテインメント&ITイベント「サウス・バイ・サウスウェスト」において、新たに「オープン・キッチンキャンペーン」という運動を立ち上げた。
▽著名シェフらが提唱
オープン・キッチンキャンペーンとは文字通り、風通しの良い開かれた空間を持つキッチン。つまり、安全でお互いが尊敬し合う調理場(職場)を共に作り上げていこうというもの。セクハラを含むあらゆるハラスメント、そして男女や人種などに起因する差別のない、平等で開かれたレストラン作りを目標に置いている。
提唱者は、テレビ番組でその名をとどろかせたエド・リー氏やメアリー・スー氏など、著名な4人の料理人だ。活動する場所も別々で、さまざまな人種や男女が入り交じった彼らが始めたこの運動は今後、広がっていくことだろう。
▽業界全体にも良い影響
同キャンペーンで掲げられているスローガンの一つに「EVERYONE DESERVES A SAFE SEAT AT THE TABLE」というものがある。ここには「誰もが安全なテーブルを与えられる価値がある」という思いが込められている。
公平でクリーンな職場こそが飲食店を利用する客にも良い影響を与え、そのことがひいては飲食業界全体を盛り上げることにつながると考えられているのだ。
オープン・キッチンキャンペーンの活動などを紹介するサイトには、「ウェビナー機能」も付加されている。ウェビナーとは、「ウェブ」と「セミナー」を組み合わせた造語で、インターネット上で数十人から数百人の参加者と対話することができるセミナーのこと。同キャンペーンにはこのように、飲食業界で起こった問題の解決をさまざまな手法で後押しする仕組みも整えられている。今後、状況がどのように変わっていくのか、期待が高まる。(ニューヨーク在住ジャーナリスト、安部かすみ=共同通信特約)

Kyodo 47 News(2018.4.3)【世界から】「#MeToo」運動、飲食業界へ」より転載(無断転載禁止)
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